※本記事にはアニメ『機動戦士ガンダム ジークアクス』第2話のネタバレが含まれます。未視聴の方はご注意ください。
2025年4月放送のアニメ『機動戦士ガンダム ジークアクス』。
その第1話では、女子高生アマテ・ユズリハが「オメガ・サイコミュ」を起動させると共に、「赤いガンダム」という謎の存在と出会いました。
そして迎えた第2話は、その「赤いガンダム」の起源を描く完全な過去編。
時代は一年戦争末期――シャア・アズナブルが連邦軍のガンダムを奪い、ジオンの歴史を塗り替えるまでの過程が描かれます。

「もし、シャアがガンダムに乗っていたら?」
そんなファンの妄想が、公式の“もうひとつの宇宙世紀”として動き出した回です。
この記事では、シャアがガンダムに乗る様子からゼクノヴァという大事件まで、筆者の視点で4つの見どころに分けて振り返っていきます。
見どころ①:赤い彗星、連邦のガンダムを奪う
サイド7に潜入したシャアは、連邦軍のV作戦をキャッチしたと気づいてホワイトベース(木馬)を破壊するという決断をします。
これは明らかに偵察任務を逸脱した行為であり、部下のデニムも戸惑いを隠せません。
シャア「私がみすみす手柄を逃すような男と思うか?」
© 創通・サンライズ
というシャアの一言が、この人物の“カン”を何よりも重視する性格を物語っています。
- 直感に従ってガンダムのコックピットへ向かうシャア
- 起動したガンダムを即座に操作し、敵モビルスーツと交戦
- 頭部バルカンから白兵戦まで、柔軟な対応で勝利を掴む
操作系の違いも物ともせず、瞬時に戦況に適応してみせるシャアの凄み。ここには、“赤い彗星”という異名の裏付けとなる圧倒的なセンスがあります。
また、シャアは戦闘中にこうも語っています。
シャア「むやみに撃破すればコロニーに穴が開く。白兵戦用の武器はないか?」
© 創通・サンライズ
このセリフからは、無用な民間人への被害を避ける冷静さと、戦闘における倫理観が感じ取れます。
- 「ガンダムに乗ったシャア」が成立した瞬間こそ、この物語最大のifの分岐点である。
- 彼の直感と操縦技術が、ここで“ifの歴史”を動かし始めた。
見どころ②:シャア、ホワイトベースを強奪
ガンダムを操縦し、サイド7で連邦の主力を次々と無力化したシャア。
しかし彼の行動はそれだけにとどまりません。
次に彼が狙ったのは、戦艦ホワイトベース(=木馬)そのものの強奪でした。
- ガンキャノンを撃破したことで、敵の抵抗力はゼロに
- 「君らの船もいただいていく」――戦慄の一言で艦橋を破壊
- そのままホワイトベースごと鹵獲に成功
そして――ホワイトベースはジオンの手に渡り、「強襲揚陸艦ソドン」と改名されます。
この時点で、歴史の流れが完全に逆転したのです。
さらに印象的なのは、鹵獲したガンダムが赤く塗装されていたこと。

「赤いガンダム」というビジュアルは、ファンにとってもキャッチー。
シャア=赤いモビルスーツという構図が、ここで話題性に寄与します。
中でもとりわけ印象深いのは、シャアが自分の行動をこう振り返る場面です:
シャア「それとも私の運が良かったのかな?いや、あの時のひらめきが全てを変えた気がする」
この「あの時」が具体的にいつかは語られない。
- それがガンダム奪取の瞬間なのか?
- それともまだ明かされていない、もっと重要な“ひらめき”があるのか?
アマテのスマホに届いたメッセージ「Let’s get the Beginning.」もそうですが、何か「未来から情報を渡している存在」がいるのではと感じ取ってしまいます。(シャアも未来から何かひらめきをもらったのでは?)
見どころ③:赤いガンダム vs 01ガンダム
ジオンに奪われた「赤いガンダム」に対して、連邦軍は01(ゼロヒト)ガンダムという試作機を投入する。
機動性はほぼ互角。だが、勝敗を分けたのはパイロットの技量でした。
- ビーム兵器・バルカン・ミサイルまで使用される本格戦闘
- 戦闘中に性能を測るように動くシャア
- ミサイルで木馬を狙う01ガンダムの動きに即座に対応
また、シャアが発したこの言葉が印象的でした。
シャア「機動性は奴も同じか…だが甘いな」「遅い」
ここに現れているのは、“同じ性能ならパイロットの差で勝つ”という自信です。
- 01ガンダムに対して前蹴りを決めるシャア
- 近接戦闘ではビームサーベルを2本抜き、トドメを刺す
戦闘後、シャアはこうつぶやきます。
シャア「このモビルスーツが今後の戦略の鍵となるのかもしれんな」
これは単なる兵器評価ではなく、戦局を変える“思想”としてのガンダムへの確信でしょう。
彼にとってこの戦いは、「ガンダムの使い道を見極める試験戦闘」でもあったのです。
見どころ④:ゼクノヴァ暴走と、伝説の終わり
ガンダムとサイコミュがもたらしたのは、戦局を変える勝利であると同時に――「ゼクノヴァ」と呼ばれる未曾有の大事故でした。
- サイコミュが暴走し、ソロモン要塞の3分の1が消失
- 原因も原理も明かされないまま、「空間が失われる」という現象だけが残る

システムに耐えられず操縦者の人格が暴走するのではなく、システムそのものが暴走して大事故が起きるというのは、まさに制御不能なテクノロジーの恐怖。
そして、その戦いを最後に――シャアは姿を消します。
- 赤いガンダムは宇宙のどこかへ
- シャアも、生死不明のまま行方をくらます
「彼が生きているかもしれない」という余白は、シャアというキャラクターの神話性を壊さずに保ったまま、物語を新たな世代に引き継ぐ“幕引き”になっていました。
語り部となったのは、シャリア・ブル。
かつてシャアと酒を交わした男は、今も問いかけ続けています。
シャリア・ブル「あの時、貴方は何を見たのですか? シャア大佐」
この言葉の裏には、
- あの瞬間(ゼクノヴァ発生時)に交わされた何かの「言葉」があったのでは?
- あるいは見せられた「光景」や「覚悟」が存在したのではないか?
そんな未解決の余韻が漂います。

戦後、シャリアがシャアを探し続けている理由も、「あの時の続きを聞きたい」からなのかもしれない
まとめ
第2話はまるごと“過去の戦争”にフォーカスした過去回。
「赤いガンダム」=シャアが乗っていたガンダムという事実が描かれ、過去作品と最新作のアニメが繋がるという演出になりました。
- シャアの直感力と戦術センスが光る、サイド7での鹵獲劇
- 赤く塗られたガンダムが登場
- ガンダム vs 01ガンダムというガンダム同士の対決の末、技量の差で決着
- そして、ゼクノヴァという制御不能の力と共にシャアは行方不明に

シャアが存命だと、この作品の主人公より目立ってしまうので行方不明になるのは仕方がないのかな、と思う
アニメ第1話に登場したアマテたちの時代は、まさにこのエピソードの“続き”。
今後の物語で、この赤いガンダムがどう受け継がれたのかに注目しています。