※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第188話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回第187話では、恭弥が始業式で学校生活に一つの区切りをつける中、ラノックとの約束が進行し、不動産トラブルの余韻も残されたままでした。
今回の話では、ラノックとの会談がついに実現し、ユニコーン発表会にまつわる裏の動きが明らかになります。
恭弥が背負わされる「統制」という任務の重みと、周防に関するラノックの驚くべき発言。淡々とした会話の中に、国家間の緊張と個人の復讐が交差する、深くて静かな火種が見え隠れする回でした。
読み進めるごとに、恭弥の置かれた立場がますます異質なものになっていくのを感じます。
見どころ1:恭弥が背負わされる「統制」という名の責任
ネクサスホテルのスイートルームにやってきた恭弥は、ラノックと食事を交えた会話の中で、ある重大な任務を告げられます。
それは「ユニコーンプロジェクト」の発表に関する、各国情報機関の極秘会合において、参加者たちの「警護」を行うというもの。いや、実際にはそのもう一歩先です。
ラノック『明日はルイから拳銃を受け取ってくれ』
©Kakao piccoma Corp.

いきなり拳銃の話。完全に戦闘を前提にしてますよね?
そもそも日本国内で銃器を持つということ自体、普通じゃない。それをあえて口にしたということは、単なるボディガードなんてレベルではなく、何かが「起きるかもしれない」という覚悟を持て、という意味なのだと思いました。
この時の恭弥、すごく冷静ではあるけれど、内心では「またかよ……」とため息をついてるように感じました。平和な日常から、気づけばいつも非日常の渦の中心にいる。それが恭弥の宿命なんでしょうか。
さらにラノックは、恭弥に「会合全体の統制」を託す理由についても語ります。
ラノック『君は日本政府が長年、水面下で養成した要員だと噂されている』
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これ、言い方が絶妙ですよね。「真実」じゃなくて「噂」。つまり、裏付けのないまま「伝説」として語られている存在を、都合よく利用しようとしているんです。
要するに、恭弥という存在自体が外交カードになっている。相手国にとっても「よくわからないけど危険そうな存在」が目の前にいる、というだけで牽制になるわけです。
それにしても、ラノックってやっぱり油断ならない人物ですね。一見、友人として接してくるけど、ちゃんと駒として恭弥を動かしている感じがする。
でも不思議なことに、恭弥もそれを承知で付き合っているんですよ。たぶん、信頼と利用のバランスを、互いに理解したうえで成り立っている関係なんでしょうね。
……と考えると、あの昼食はただの食事じゃなく「契約の儀式」みたいなものだったのかもしれません。飯のあとに渡されるのが銃って、なんだか洒落にならないですが。

恭弥の「分かりました」という一言の裏にある重さ。あれは任される覚悟じゃなくて「すでに背負うしかない運命」を認めるような返事に聞こえました。この人、やっぱり簡単には休ませてもらえないんですね……。
見どころ2:ユニコーンの“裏の狙い”と、揺れる恭弥の問い
スイートルームでの食事も終盤。恭弥はふとしたタイミングで、前から気になっていたことを口にします。
恭弥『ユニコーンプロジェクトを日本で発表すると決めた理由を…聞かせてもらえますか?』
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この場面、すごく静かなやりとりではあるんですが、私はここにぐっと引き込まれました。
というのも、恭弥が聞いているのは「表向きの理由」ではなく、「ラノックの本音」なんですよね。お礼を口実にしながらも、その裏側にある「外交の駆け引き」に目を向けている。

さすが元傭兵というか、場の空気の奥を読む目が研ぎ澄まされているように思えました。
ラノックの返答は、やはり一筋縄ではありませんでした。最初は「日本の威信のため」「君の功績に報いるため」と優等生的な答え。でもそのあと、彼はもう少し正直な理由を明かしてくれます。
ラノック『中国をはじめとする東北アジアの国家に我々の意志を確実に伝えるため。そして、アメリカとイギリスの動向を把握するためだ』
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……やっぱり、裏がありましたよね。私はここで、ラノックという人物の「政治家としての顔」がにじんだ気がしました。目的はただの経済プロジェクトじゃなく、各国の立場や出方を探るための舞台設定だったんだと。
しかも、そのなかで恭弥はどういう位置づけなのか。戦力として? それとも、外交カードとして? 正直、読んでいて少し複雑な気持ちになりました。

表に出ない情報戦の裏で、彼のような存在が担っている役割の大きさが、改めて見えてきた気がします。
あと個人的に気になったのが、ラノックが口にした「アメリカとイギリスがブラックヘッドを探している理由」について。シャフランの名もちらっと出ていましたが、ここが今後のキーになるのは間違いなさそうです。
ユニコーン計画の裏に潜む「過去」と「埋もれた何か」。どこまで掘り下げられていくのか、非常に気になります。
この会話、たぶん恭弥も心のどこかで「また巻き込まれるな」って思ってたんじゃないでしょうか。けど、それでも一歩引かずに踏み込むあたり、彼の在り方はやっぱりブレないなと思いました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第188話
第188話は、恭弥が「個人」から「国際的なプレイヤー」へとさらに一歩踏み出すターニングポイントでした。
ラノックは、ユニコーン発表の裏にある複数の政治的狙いを語り、恭弥を各国要員の統制役として位置づけます。
さらに、周防の過去をめぐる情報が提示され、私的な因縁にも火がついた格好です。
国家戦略と個人の感情が並行して描かれることで、物語は複雑さを増しています。次回の展開次第で、恭弥の「決断」がどんな意味を持つのかが見えてきそうですね。
- 次回記事:189話:ラノックが明かすフランス市民への誘い
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