※この記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第198話の内容が含まれます。まだ読んでいない方はご注意ください。
前回の197話では、総理の登場や、警備計画に関わるやり取りが描かれました。恭弥は初めて煉谷(ねりや)隊長と顔を合わせ、情報機関どうしの緊張も高まっていきました。
そして198話では、さらに状況が深まっていきます。
テロの気配は見えないままですが、発表会をめぐる「裏の計画」の可能性が、ラノックの口から明かされます。
見どころ1:煉谷隊長の登場と、新しい信頼できる仲間
発表会の朝、恭弥のもとにやってきたのは「総理官邸警備隊」の隊長・煉谷万寿郎(ねりやまんじゅろう)でした。彼は恭弥の過去の働きに感謝の気持ちを伝え、警備に協力する意思を見せます。
煉谷『隊員たちを代表してお礼を言わせてください。おかげで我々のプライドが守られました!』
©Kakao piccoma Corp.
この言葉は、ただの社交辞令ではありません。「モンゴル作戦」のような過酷な現場で動いた人にしか言えない、重みがあります。
「プライドが守られた」という部分には、自分たちの立場や信念、そして仲間たちの誇りを背負っている責任感がにじんでいると思いました。
煉谷というキャラの登場によって、恭弥がこれまでとは違う視点で人を見るようになってきたことが伝わってきます。

これまでは「敵か味方か」という線引きで判断していた彼が、今は「この人には任せられるかどうか」「背中を預けていいかどうか」といった、「信頼」の感覚で人と接し始めているように見えました。
また、こうした「年上の信頼できる味方」が出てくると、物語全体にも安心感が生まれます。
読者としても、「この人が味方でよかった」と思えるキャラが登場したことは、大きな出来事のひとつだと感じました。
発表会という緊張感のある空間において、煉谷のような落ち着いた人物が加わることで、恭弥の役割や立場も少しずつ広がっていくように思えます。
その後、煉谷は別れ際にもう一度、丁寧なあいさつをします。
煉谷『今後ともどうぞよろしくお願いします』
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この場面でも、煉谷の人柄がよく表れていました。偉そうにするわけでもなく、でも責任感はしっかり持っている。

その言葉を受けた恭弥が「カッコいい人ですね」と言ったのは、彼が「ただ強い」だけではない「尊敬できる人」に出会ったことの証拠です。
ここで注目したいのは、恭弥が素直に相手を評価した点です。これまでは誰に対しても警戒し、弱みを見せようとしなかった彼が、少しだけ自分の考えを口にするようになった。
それは、「人に任せる」「力を合わせる」といったチームの考え方を、自然と受け入れはじめているからかもしれません。
見どころ2:テロと権力のつながりに気づく
恭弥は、発表会の朝にラノックの部屋を訪れます。ラノックが紅茶を差し出し、恭弥がそれを飲もうとした瞬間、不意に「嫌な予感」が胸をよぎります。
そのとき明かされたのは、ただのテロでは終わらない、政治の裏にある「権力争い」でした。
ラノック『財務大臣である伊藤民生は──佐古田議長と周防側の人間だ!』
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財務大臣・伊藤民生の名前が出たことで、今回の発表会が単なるテロ事件では終わらないことがはっきりしました。
発表会に総理と官房長官が出席するタイミングで事件が起きれば、その後に政治を動かす人物が誰になるのかという問題が発生します。
そして、その「後を継ぐ人物」として名前が挙がったのが、周防や佐古田の勢力に近い伊藤民生です。

つまり、誰が生き残り、誰が排除されるかによって、この国の政治の流れそのものが変わってしまう可能性があるという構図が見えてきます。
このような動きは、ただの「混乱を狙った暴力」とは性質が異なります。政治のしくみや継承のルールを逆手に取り、「合法的に見える形で支配を奪おうとする」やり方です。
ここまでの話を通じて見えてきたのは、戦いが銃や爆弾だけで行われるわけではないということです。制度の穴を突くような、目に見えにくい戦いこそが、もっとも警戒すべきものなのかもしれません。
「総理と官房長官がいなくなったあとに、どのポジションに誰が来るか」まで計算された動きは、ただの犯罪ではなく、戦略に近いものです。
この回では、表の世界(政治)と裏の世界(テロ)がつながっていることがよくわかりました。
ラノックは恭弥に、ある問いを投げかけます。
「もし、君がこの発表会を潰すという任務を与えられたら、どうする?」──つまり、恭弥自身が“テロリスト側だった場合”を仮定して尋ねたのです。
その問いに対して、恭弥はためらうことなく答えます。
恭弥『…結果はどうあれ騒動を起こす自信はあります』
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この返答は、「発表会を成功させないためなら、どんな手を使ってでも混乱を起こせる」という意味です。
つまり、もし自分がテロを起こす立場だったら、発表会をめちゃくちゃにする自信がある、と恭弥は言っているのです。
このやり取りでラノックが確認したかったのは、「恭弥がどれだけ相手の立場で物事を考えられるか」でした。
実際に、恭弥は“どうすれば発表会を潰せるか”をすぐに想像し、それができると断言しました。
このことから、恭弥は敵の動きや狙いを冷静に予測できる立場にいるとわかります。
だからこそ、恭弥の言葉はただの強がりではありません。戦いが始まる前に「相手が何を仕掛けてくるか」を読んでいる、戦術的な視点を持った発言だと感じました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第198話
198話では、「発表会の場で何が起きるか」ではなく、「なぜ起こされようとしているか」に注目が集まりました。
総理と官房長官が同時に狙われる計画。その裏には、政権を入れ替えるための「仕組まれた流れ」が見えてきます。
恭弥が「もし自分がテロ側だったらどうするか」と仮定して考える場面では、彼の判断力と分析の深さが際立っていました。
誰が味方かだけでなく、誰が「仕掛けてくるか」を読む必要がある状況に、物語は確実に入り込んでいます。次回、事態がどの方向に動くのかで、この発表会の意味そのものが変わってくるかもしれません。
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