※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第202話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
第201話では、国際ホテルで発生した大規模テロの中、恭弥とダエルが要人たちの命を守り抜きました。
現場は甚大な被害を受けたものの、恭弥たちは自らの行動で一線を越えた危機を退けることに成功します。
そして第202話では、事件の首謀者とされる佐古田兄弟や周防が国外に逃亡していたことが明らかになり、恭弥の復讐心がさらに強く燃え上がります。
また、かつて敵だったセルパン・ブニムーが予想外の提案を持ち込み、立場の交差が物語に新たな波紋を投げかけました。
見どころ1:無念の死と怒りの決意 ― 杉田未央の訃報
テロ事件の翌朝、恭弥の病室を訪れた黒川は、ある報告をします。
それは、ネクサスホテルの研修スタッフである杉田未央が、今朝、自室で首を吊った状態で発見されたというものでした。
彼女は、恭弥がかつて「信じてほしい」と伝えた相手でもありました。
当日はテロの発生により、警護人員が不足していたため、彼女の安全が守られていませんでした。
黒川『普段は彼女にも身辺警護をつけていたのですが、昨日はテロに総動員されたため彼女を守りきれませんでした。申し訳ありません』
恭弥は、この知らせに感情を荒らげることなく、黒川に「パスポートを作ってください」とだけ答えます。
この場面では、恭弥の内面にある複雑な感情が、彼の言動の端々に現れていました。彼は、これまで数々の危機に直面してきましたが、今回の喪失は特別でした。

彼女の死は、恭弥にとって「守りたかった者を守れなかった」という事実として重く残ります。その悲しみや怒りを、彼は直接には表現しませんが、その代わりに「行動(復讐)」で示そうとします。
見どころ2:ザビエの提案 ― 敵からの和解要請と取引の余波
テロ事件の直後、仁道病院の病室にセルパン・ブニムーの幹部たちが現れました。
彼らの代表であるザビエは、恭弥とダエルに対し、敵意ではなく交渉を持ちかけます。ザビエは、ラノックとの仲裁を願い出ると同時に、ある提案を口にしました。
ザビエ『なら周防を捕まえてあんたの前に連れてきてやる!』
この発言は、これまで恭弥たちと敵対してきた組織が、自ら主導権を放棄するような申し出とも受け取れます。
この場面は、セルパン・ブニムーの立場が大きく変わったことを示しています。
今までは敵として恭弥たちと対立していましたが、今回は「組織を助けて欲しい者」として登場しています。
恭弥は、相手の申し出をすぐには受け入れず、まず態度を見極めようとしました。この反応には、彼がこれまでの経験から「軽々しく信頼しない」という姿勢を貫いていることが表れています。
また、ザビエたちの提案からは、組織内の混乱と焦りが読み取れます。ラノックからの報復を恐れ、事態の収束を急いでいる様子が伺えました。

特に、「周防を差し出す」という提案は、これまで敵として明確に描かれていたザビエたちが、自分たちの生存のために「もっとも価値のあるカード」を切ったことを意味します。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第202話
第202話は、恭弥の内面にある「信頼の喪失」と「責任の重さ」が表現された回でした。
彼が杉田未央の死に対して見せた反応は、感情よりも行動で意志を示す人物であることを再確認させてくれます。
また、セルパン・ブニムーの申し出は、「敵」として定義されてきた存在が、立場を変えて接触してきた重要な変化です。
彼らが「周防を差し出す」と提案したことで、難しいと思われていた周防への復讐への道が見えてきた感じがしました。
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