※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第225話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、恭弥たちが死闘の末に周防宅の制圧に成功し、仲間の負傷と引き換えに激戦に終止符を打ちました。戦場を後にする間際、氷室院長へ治療を依頼する場面で幕を閉じました。
そして今回は、首相官邸での激しい応酬と、仁道病院で交わされる意味深なやり取りが描かれます。各陣営の思惑が交錯し、さらなる波乱の火種が見え始めました。
見どころ1:恭弥任命をめぐる政治的駆け引き
首相官邸では、周防への襲撃の報を受け、沢村総理が激しく憤っていた。
警護隊長・煉谷が数十名に及ぶ殺害作戦を独断で強行し、さらに内閣情報官までもがそれに加担していたことが明るみに出たのだ。
しかも、その事実を総理に報告しないまま、情報官は辞表を提出していた。総理の怒りは頂点に達する。
それでも内閣情報官は辞職の意思を変えず、自らの責任を一身に背負う覚悟を示す。
そのうえで、恭弥をユニコーン事業の担当に任命するよう進言するのだった。高校生であることを理由に渋る総理に対し、情報官はきっぱりと断言する。
内閣情報官「この国に、ラノックと肩を並べる──いや、それ以上の存在が現れる機会です」
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その言葉を聞いた沢村は、内心では恭弥の能力を認めながらも、何より彼の身の安全を案じていた。
しかし最終的には辞表を破り捨て「内閣情報官の言うことを聞く代わりに、彼は辞めさせない」という決断を下します。
そのうえで、今後はいかなる事実も隠さず報告するよう厳命し、再び信頼を築いていくことを誓った。

この場面で特に印象的だったのは、沢村総理の「感情」と「理性」が激しくせめぎ合う姿でした。
激情に任せて怒りを露わにする一方で、最終的にはすべてを受け入れ、冷静に体制の立て直しを図ろうとする姿勢からは、国家の舵取りを担う者としての覚悟がありました。
中でも注目すべきは、恭弥をユニコーン事業の担当に推す内閣情報官の進言、そしてそれを受けた沢村の決断です。通常であれば、高校生を要職に任命するなど到底あり得ない話です。
それでも沢村は、辞任を申し出た内閣情報官に対し、「恭弥を任命する代わりに、お前は辞めるな」と言わんばかりに辞表を破り捨てました。
これは単なる感情的な反発ではなく、互いの「カード」を握った上での駆け引きだったように思えます。
情報官は命を懸けた作戦の責任を引き取る覚悟で辞表を差し出し、その代償として恭弥の任命を強く訴えた。一方の沢村は、恭弥の能力を評価しつつも、政治的リスクを恐れて慎重になっていた。

両者の思惑がぶつかる中で成立したのが、「辞任は許さないが、任命は受け入れる」という落とし所でした。
見どころ2:ラノックが語る「信じがたい情報」
仁道病院の病室に、フランス大使ラノックとその護衛であるルイが姿を現した。
今回の一連の事件にラノックを巻き込んでしまったことに、恭弥は強い申し訳なさを感じていた。
その気遣いに対し、ラノックは穏やかに語り始める。
いま、国際的な情報戦がかつてない規模で拡大しつつあるのだという。イギリスとアメリカの対立構造に、ロシアまでもが介入し、情勢は一層の混迷を深めているというのだ。
さらに、フランス大使としての立場から、次なる標的が佐古田兄弟であることにも言及する。ラノックの表情が一変したのは、その直後だった。
ラノック「信じがたい情報を入手したんだが、アメリカやイギリス、ロシアの動きからすると、どうやら完全なデマというわけでもなさそうでね。ただ、まだ確証が取れていない以上、今は詳しく話せない。すまない」
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このシーンでとりわけ印象的だったのは、ラノックの最後の一言です。
常に冷静沈着で、相手の先を読む立場にあるラノックが「まだ話せない」と言い残し、情報の一部を伏せたまま病室を去っていく…その姿は、これまでとは明らかに異なっていました。
彼がここまで慎重になるということは、その情報が極めて重大かつ繊細なものであることを物語っています。
さらに注目すべきは、「信じがたい情報」と表現しつつも、それが単なる噂話ではなく、各国の動向からして「真実味を帯びている」と判断している点です。
アメリカ、イギリス、ロシアといった大国の情報機関の動きを見極めたうえで語られたその言葉には、単なる推測ではない、確かな勘と確信が込められていました。

恭弥の身に迫る新たな危機なのか、それともユニコーン事業を巡る国際的な妨害工作なのか。いずれにせよ、この一言が今後の展開の大きな分岐点となるのは間違いないでしょう。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第225話
- 煉谷の独断行動と内閣情報官の辞表提出が発覚し、総理が激昂する
- 情報官は恭弥をユニコーン事業の担当に任命するよう進言する
- 総理は辞表を破り、進言と引き換えに辞任を却下した
- 恭弥任命をめぐる一連のやり取りは政治的駆け引きだった
- ラノックは国際情勢の混迷と佐古田兄弟の排除に言及した
- 「信じがたい情報」は今後の大きな伏線となる可能性が高い
- 次回記事:226話:恭弥がユニコーン委員長就任を即拒否
- 前回記事:224話:黒川が語る煉谷の意志
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