※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第235話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、恭弥が父・誠司との会話を通じて自分の進む道を見つめ直し、同時に小林梓の件で鬼塚と姫野に強く制裁を下しました。さらに、黒川から発信機を託され、ヴァシリ来日に備えた準備も着々と進められていきます。
そして今回は、フランス大使館でのラノックとのやり取りや空港での視察対応など、恭弥が「任された者」としての責任を果たしていく姿が描かれます。些細な衝突も火種となる中、緊張の金曜日が迫ってきました。
見どころ1:ラノックの優先順位は「敵にしないこと」
恭弥はラノックとの約束の時間に合わせてフランス大使館を訪れました。
出迎えたラノックは、ロシア大使ヴァシリが中国で遺体を引き取った後、金曜日の午後に来日すると伝えます。その際、ヴァシリから夕食の誘いがあることも明かされ、恭弥は了承しました。
その後、恭弥はあるものを差し出します。それは黒川がくれた画鋲型の小型発信機。自分のスマートフォンからラノックの現在地を把握するためのものでした。
恭弥の意図は「どんな時でもラノックを守る」という強い信念からくるものでしたが、他国の情報機関に位置情報を知られる危険性を指摘し、ラノックはやんわり断ります。
恭弥は軽率だったことを詫びて発信機を引っ込めようとしますが、ラノックはその真意を汲み取り、自国の情報局が使用する専用受信機を恭弥のスマホでも使えるようにする提案をします。
ただし、必要に応じて自ら発信を遮断する可能性があると条件を添えました。
その上でラノックは、恭弥に日本のユニコーン事業の担当を断らないで欲しいと言います。
それはフランスへの帰化を諦めることに等しい決断でもありましたが、ラノックはそれを承知のうえでこう伝えます。
ラノック「もちろん、それは残念だが、少なくとも君がフランスの敵になることはないだろう?」
©Kakao piccoma Corp.

この一連の流れから感じられるのは、ラノックの誠実さと恭弥への信頼、そして外交官としてのしたたかさです。
恭弥が差し出した画鋲型の発信機は、単なるセキュリティ対策ではなく「どんなときでも大使を守りたい」という強い思いの表れでした。しかしラノックは、それを受け取らず、他国の情報機関に位置を把握されるリスクを冷静に説明します。
その断り方も、拒絶や否定ではなく、恭弥の気持ちを尊重したうえでの提案型でした。
専用受信機を通じて「守ってもらうこと」自体は受け入れながらも、あくまで主導権は自分にあるという立場を崩しません。

さらに注目すべきは、恭弥にユニコーン事業担当者の役割を「断らないでくれよ」と言った場面です。
この役割を引き受ければフランス帰化は遠のき、ラノックの「後継者として育てる理想」は実質的に破綻します。それでもラノックは恭弥にこう言い切るのです。
この言葉には「恭弥を自国に引き入れること」よりも「これだけの実力者を敵に回したくない」という、極めて現実的な判断があります。
ラノックは理想だけで動く政治家ではありません。信頼と情は持ち合わせつつも、国際政治の舞台においては、誰が味方で誰が脅威になり得るかを冷静に見極めているのでしょう。
見どころ2:空港で「正義執行」の予感
恭弥はラノックの到着を前に、金曜日の午後、空港へと足を運びました。
現地で出迎えたスタッフに案内され、空港分室の室長・宮下と対面します。形式的な挨拶のあと、宮下のオフィスへと移動し、到着予定や当日の段取りを説明されました。
ラノックが到着するのは16時40分。それまでの時間を使って空港内の現場を確認したいと恭弥が申し出ると、宮下はやや面倒そうな態度を見せます。
現場に問題はない、距離もある、と口にしながら飲み物を片手に言葉を濁そうとするその姿に、恭弥は苛立ちを覚えます。
それでも意志を変えず「現場を見せてください」と促すと、宮下はしぶしぶ了承し、身分証を渡しました。
案内を始めようと扉を開けた宮下は、そのまま勢いよくドアを閉め、先に出ていきます。その瞬間、恭弥は相手の本音を見抜いていました。
恭弥(そういうことか、ここのリーダーは自分なのに高校生のガキの言うことを聞かないといけなくて苛立ってるんだな。まぁこのくらいは目を瞑ってやる。だが、これ以上は許さねぇ)
©Kakao piccoma Corp.

この一連の流れ、どう見ても「フラグが立ちました」と言いたくなる展開です。
空港分室の室長・宮下、登場からすでに感じ悪さ全開。
飲み物片手に余裕ぶってるかと思えば、恭弥が「現場を見せてください」と言った途端に露骨に不機嫌になるあたり、器の小ささがにじみ出ています。
極めつけはあのドアの閉め方。恭弥が出る直前にバンッとやるあたり、子どもかよ…と言いたくなるレベルです。でも、そういう挑発が逆にわかりやすくて恭弥も思わずニヤけてしまいます。
問題はここからです。相手が誰だかわかってない宮下さん、きっと次回あたりで後悔することになります。
恭弥の「だが、これ以上は許さねぇ」という言葉が出た以上、もはや「正義執行」のカウントダウン開始です。

次に何かやらかした瞬間、恭弥のスイッチが入るのは時間の問題。真顔で淡々とギャフンと言わせる未来が見える展開です。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第235話
- 恭弥はラノックとの約束に合わせてフランス大使館を訪問
- ラノックはヴァシリの来日予定と夕食の話を伝える
- 恭弥はラノックに発信機を渡すが、やんわり断られる
- ラノックは代替案として専用受信機の使用を提案する
- フランス帰化の可能性よりも恭弥との関係維持を優先した
- 空港では室長・宮下が恭弥に不快感を示す態度を見せる
- 宮下の横柄な態度により「正義執行」の予感が高まった
- 次回記事:236話:宮下の横柄な態度に恭弥が反撃
- 前回記事:234話:鬼塚と姫野にいじめへの償いを迫る厳しい言葉
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