※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第254話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、西郷が隊員たちに恭弥の正体を明かし、士気を高めました。また、恭弥と成瀬の間には火花が散り、翌日の訓練への布石が打たれました。
そして今回は、宿泊所での一夜を経て翌朝の訓練が本格的に始まります。恭弥が示した方針は、過酷さを伴う内容であることが伝わってきます。
見どころ1:恭弥の冷静な評価と隊員の現実
恭弥たちは訓練場に用意された宿泊施設へと移動しました。西郷は部屋の質素さを詫びましたが、ダエルは軍の施設としては十分だと前向きに受け止めます。西郷が退室すると、岩田が現役時代を思い出すと語り、場の雰囲気は落ち着きを取り戻しました。
消灯の準備に入った後も、京極と恭弥は翌日の訓練について話し合いました。京極は現役の特殊部隊なら問題ないと考えていましたが、恭弥は隊員たちの実力に疑念を抱いていました。
恭弥「正直な話・・・彼らの実力はオレの求める水準に達していません。でもだからと言ってまるっきりダメというわけでもない。ただ・・・実戦経験があまりにも少なすぎます。話を聞いたところ海外の軍隊と行った合同訓練が全てのようです」
©Kakao piccoma Corp.
恭弥は、隊員たちの実力を評価しつつも「本当の強さを身につけるには実戦を経験するしかない」とはっきり断言しました。いくら訓練を重ねても、実際の戦場で得られる感覚や判断力には及ばないと考えていたのです。
その厳しい現実を聞いた岩田は思わず驚きを見せます。今の隊員たちも十分に優秀だと思っていたからこそ、恭弥の評価は衝撃的でした。一方で京極は、自分が現役だった頃を振り返り「犠牲を払ってようやく力が身につく」という、避けられない現実を淡々と語るのでした

この場面で印象的だったのは、恭弥の冷静な評価と京極の過去の経験が対比されていた点です。
恭弥は、どれだけ訓練を積んでも実戦での経験に勝るものはないと考えており、その厳しさをはっきり口にしました。
岩田が驚いたのは、隊員たちの努力を否定されたからではなく、優秀に見える彼らにもまだ足りない部分があると突きつけられたからだと言えます。ここで浮き彫りになったのは、訓練と実戦の間に横たわる大きな溝でした。
また、京極が「犠牲を払うことで力が培われる」と語ったのは、現場を知る者ならではの重みがありました。8割方の隊員が死ぬような戦闘を繰り返した先にしか、一流の戦士が生まれないという悲しい経験則があったのです。
結局、この一連の会話は「力をつけることの代償」が避けられないものであると示しているように感じました。
見どころ2:実弾使用が示す恭弥の本気
翌朝、恭弥とダエルは隊員たちを率いて山でのランニングを行いました。恭弥とダエルは隊員たちを脱落させるべく速いペースで走り始めます。
しかし、恭弥・ダエルよりかは遅いペースながらも誰一人脱落することなく走り切った隊員たちの基礎体力に、恭弥は一定の評価を示します。ですが同時に、走り終えた後に倒れ込む隊員たちを容赦なく叱責し、すぐに立ち上がらせました。
その後、訓練の本番に入る前に、恭弥は西郷や京極らの前で方針を話します。今回の訓練は攻撃班と防衛班に分かれ、実戦さながらの形式で行うというものでした。しかも模擬弾ではなく実弾を使用し、撃っていい場所を限定するという危険な内容でした。
西郷はあまりの過酷さに異議を唱え、ゴム弾の使用を提案しますが、恭弥はそれを否定します。
恭弥「オレが求めているのは――――非人道的な訓練を乗り越え共に戦う仲間です」
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参加は強制ではないと前置きしつつも、恭弥の真意は「極限の状況を共に生き抜ける仲間を選び抜くこと」にありました。こうして訓練は、単なる鍛錬を超えた仲間の選定へと変化していくのでした。

この場面で印象的だったのは、恭弥が「実戦に近い状況」を徹底して作ろうとする姿勢です。
隊員たちの基礎体力は一定水準に達していると認めつつも、戦場で本当に必要なものは別にあると考えていました。つまり「体力があること」と「戦場で生き残れること」はまったく別の話だということです。
もともと恭弥は「実力を手っ取り早く伸ばすには実際に戦場で経験を積むしかない」と語っていました。しかし現実に隊員たちを戦場へ送り込むことはできないため、彼が取った方針は「訓練を限界まで実戦に近づける」というものでした。実弾を使った形式を選んだのも、その強い意志の表れです。
西郷が提案したような安全性を重視するやり方では、戦場を想定した感覚や判断力は養えないと恭弥は考えているのでしょう。ここで描かれたのは「命を懸ける状況に近づけなければ本当の強さは得られない」という、恭弥なりの理論でした。
結局、この一連のやり取りは「訓練の名を借りた実戦」が始まろうとしていることを示しているように感じました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第254話
- 西郷の用意した宿泊所に対し、ダエルが豪快に前向きな反応を見せた
- 京極は隊員の実力を信じ、恭弥は逆に厳しい評価を下した
- 恭弥の視点で「訓練と実戦の間にある溝」が浮き彫りになった
- 京極は過去を振り返り、犠牲の上に力が積み上がると語った
- 翌朝のランニングでは脱落者が出ず、隊員の基礎体力の高さが示された
- 訓練を模擬戦ではなく実弾形式に設定し、本気度が伝わった
- 西郷の提案を退け、恭弥が「非人道的な試練を共に超える仲間」を求めた