※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第257話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、久住が防衛班を率いて奇襲を仕掛けましたが、恭弥に見抜かれて逆に先手を取られてしまいました。防衛側は、即座に散開し銃撃戦が始まる展開となります。
そして今回は、攻防が激しさを増す中で恭弥が隊員たちの戦いを見守り、その「覚悟」を試す場面が描かれます。さらに久住の決断やダエルの動きも重なり、模擬戦は新たな局面へと進んでいきます。
見どころ1:模擬戦で試された「覚悟」
森の中で行われた模擬戦は、一気に銃撃戦へと変貌します。逆襲を受けた防衛班は動揺しかけますが、久住が冷静に指示を出し、隊員たちは態勢を整えて反撃に移ります。
その姿を見ていた恭弥は、すぐにでも敵を制圧できる力を持ちながらも、自らは銃撃を控えて仲間たちの戦いぶりを観察していました。
恭弥「オレが一掃することもできるが―――ここはコイツらがどう戦うのか見せてもらうか」
©Kakao piccoma Corp.
一方で、攻撃班の若い隊員は、引き金を引くことへの葛藤に苦しみました。訓練と理解していても、狙うのは日々を共にした仲間であり、戦友です。ほんの一瞬の迷いが命取りとなり、その隊員は被弾してしまいました。恭弥は倒れた彼を叱咤し、訓練を真剣に受け止めるよう全員に喝を入れます。

このシーンで印象的だったのは、恭弥が自らは動かず、あえて隊員たちの戦い方を見守ったことです。
圧倒的な実力で一掃できるのに任せなかったのは、仲間に「実弾を撃つ覚悟」を学ばせるためだったように思えます。
一方で、攻撃班の隊員が引き金を引けなかった場面は象徴的でした。防弾チョッキを狙えば安全と理解していても、実際に照準の先にいるのは共に訓練を乗り越えた戦友です。もし外してしまったら、という恐怖が迷いを生み、結果的に彼はその間に被弾してしまいました。
このやり取りから思い出されるのは、成瀬との最初の会話です。恭弥が「敵を殺す覚悟の有無こそが決定的な違いだ」と語ったことに、今回の場面は一つの答えを示していたように感じます。
実戦経験があっても「実際に殺す覚悟」がなければ意味をなさない。その現実を、隊員の迷いと失敗が物語っていたようでした。
見どころ2:恭弥が評価した久住の采配
防衛班と攻撃班の銃撃戦は続き、ついに防衛班の隊員が被弾し倒れました。幸い防弾チョッキに守られて命に別状はありませんでしたが、戦線を離脱せざるを得ない状況になります。
指揮を執る久住は、奇襲を受けたままでは不利と判断し、退却を命じました。隊員の最上(もがみ)には時間稼ぎの役割を与え、他の仲間には無事に帰還するよう強く言い残します。
恭弥「兵力を一部残し退却か…奇襲作戦も含め判断自体は悪くない。ただ相手が悪かっただけだ」
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一方で、追撃の提案を受けた恭弥は冷静に不要と判断し、戦況を見極めます。
安西の報告では攻撃班も数名の負傷者を出していましたが、防衛班の方が被害は大きく、この戦いは攻撃班の優位に終わったようでした。
遠くからは新たな銃声が響き、ダエルの戦いが始まったことを恭弥は察知します。仲間たちの奮闘と指揮官の判断、それぞれの役割が鮮明に描かれた場面でした。

この場面で印象的だったのは、久住が退却を選んだ判断に対する恭弥の評価です。
戦況を冷静に見極め、兵を残して撤退させた采配は、模擬戦とはいえ指揮官として確かな判断力を示していました。
しかし、敵が恭弥であった以上、状況を覆すことは難しかったといえます。判断そのものは正しくても、相手の力量があまりにも飛び抜けており、さらに防衛側の奇襲作戦自体が恭弥に見抜かれていた時点で勝機は薄かったのです。この二重の差が戦場の厳しさを物語っていました。
久住の冷静さと恭弥の圧倒的な読みの鋭さ、その対比が際立ち、指揮官としての資質と限界の両面が浮き彫りになったシーンだったように感じました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第257話
- 久住の冷静な号令で防衛班が態勢を整えたのが印象的だ
- 恭弥は自ら動かず隊員たちの実力を試していたって感じ
- 仲間に銃を向けられず迷った隊員の姿がリアルだった
- 「実弾を撃つ覚悟」がテーマとして強く描かれていた
- 久住は退却を選び、最上隊員に時間稼ぎを託す
- 判断は正しくても恭弥に読まれていた時点で勝機なしだった
- 冷静な久住と圧倒的な恭弥の対比が鮮明に伝わる回だった
- 次回記事:258話:ダエルが敵の退却に潜む違和感を見抜く
- 前回記事:256話:時間も場所も支配する恭弥
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