※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第270話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、恭弥が敵の狙撃手を始末したうえで部隊を再編成し、ロシアのスペツナズとの全面戦闘に備える姿を描きました。ラノックが支援の動きを見せる中、恭弥は「全滅」を目標に戦う決意を示しました。
そして今回は、スペツナズとの激突を前に部隊を鼓舞する恭弥の言葉や、ラノックが内部の不正を疑いヴァシリへの報復を決断する場面が描かれます。互いの思惑が絡み合う中、戦いはさらに緊迫していきます。
見どころ1:スペツナズの真の狙い
恭恭弥はスペツナズとの戦いに備えて部隊を再編成し、狙撃班と二つの班に分けて行動を指示しました。狙撃班は敵を確認次第射撃する役目を担い、他の隊員たちは班ごとに動く体制となります。
士気が高まる中、ダエルは「やっと一掃できる」と意気込みを見せましたが、恭弥は無理をしないように釘を刺しました。その後、ダエルは班の集合へと向かい、その場を離れていきます。
残った隊員たちに対し、恭弥はスペツナズとの接触経験を尋ねました。すると久住は国際合同訓練での出来事を思い出し、当時嘲笑を受けたことを語ります。
恭弥「ひどい言われようだな。だが気にするな。今回、思い知らせてやればいい。オレたちがボーイスカウトじゃないってことを」
©Kakao piccoma Corp.
その言葉を受け、久住は力強く応じ、隊員たちは決意を固めて進発します。
一方その頃、敵のスペツナズも作戦会議を開き、恭弥の捕獲、もしくは抹殺を任務として確認していました。こうして両者の戦いは、いよいよ避けられない状況へと突入していったのです。

このシーンで強調されていたのは、スペツナズの任務が恭弥の捕縛か排除であるという点です。
表向きはLHCの破壊工作が語られていたものの、実際にはそれを隠れ蓑にして、恭弥そのものを標的とする動きが浮かび上がっていました。ここから見えるのは、国際政治の表舞台とは別に、水面下でより直接的な思惑が進んでいるということでした。
一方で、この状況にはロシアだけでなくイギリスの影も差しているように感じられます。大使館レベルでの情報操作や軍の動きが絡んでいることを考えると、両国が一時的に利害を一致させ、協力関係を築いている可能性が高いと考えられました。
こうした裏のつながりを踏まえると、恭弥が置かれている環境は単なる一兵士の戦いではなく、国際的な駆け引きの中心にあることを示していました。
見どころ2:ヴァシリへの報復指令
駐日フランス大使館では、ラノックが部下のラファエルを呼び出し、ロシアの動きをめぐって厳しい追及を行いました。
ケルト海にロシアの潜水艦が出没していたにもかかわらず、情報局はそれを今になって報告したのでした。衛星を複数運用しているはずなのに発見が遅れたことに、ラノックは深い疑念を抱きます。
彼は情報局がわざと報告を遅らせ、自分に不利益を与えようとしたのではないかと考えていました。その背景には、自分がフランス人ではない西恭弥を重要視していることへの反感があるのではないかと推測します。
そして、ラノックは国家の安全を脅かす行為を見過ごすことはできないと判断しました。部下に厳命を下し、事態を収めるために強硬な決断を示します。
ラノック「情報局に伝えろ。ラノックが今日中に情報局副長官二名の訃報を待っていると。それから暗殺チームを編成する。ターゲットは――ロシアのヴァシリだ」
©Kakao piccoma Corp.
同時に、大使館の警戒レベルを最高に引き上げ、外人部隊のスタンバイを命じました。さらに、特殊部隊を最も早く恭弥のもとへ派遣するよう指示し、彼の生存と帰還を最優先としました。
最後にラノックはヴァシリの動きを冷静に分析し、フランスとイギリスを天秤にかけた判断が命取りになると心中で断じるのでした。

この場面で目を引いたのは、ラノックがためらうことなく身内への制裁を命じた点です。
情報局副長官という高い立場であっても、国家の安全を損なうと判断すれば即座に切り捨てる。その決断の速さは、日本の組織文化にはない厳しさを感じさせました。さらに、ヴァシリへの暗殺指令まで出す姿勢には、ラノックが危機を前に妥協を許さない姿勢が強く表れていたように思います。
一方で、この一連のやり取りから浮かんだのは、やはり西恭弥を重用するラノックの姿勢が一部から快く思われていない現実です。フランス人ですらない人物を中心に据えることへの反発が、情報操作という形で表面化したと考えると、内部の不満は根深いものであることが伝わりました。
国際的な駆け引きの中で、ラノックが恭弥を守る姿勢は揺るぎないものであり、その強硬な姿勢が際立つシーンだったように感じました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第270話
- 恭弥が部隊を再編成し、狙撃班と二つの班に分けて指示を出した
- ダエルが意気込みを見せるも、恭弥が無理をしないよう釘を刺した
- 久住が過去にスペツナズから「ボーイスカウト」と嘲笑された経験を語った
- 恭弥が隊員たちを奮起させ、実戦で証明する決意を固めさせた
- スペツナズ側は恭弥の捕縛、または抹殺を任務として確認した
- ラノックがロシア潜水艦の報告遅延に疑念を抱き、情報局の不正を疑った
- 西恭弥を重用することへの反発が内部で表面化している可能性が示された
- ラノックが情報局副長官への制裁とヴァシリ暗殺を命じ、強硬な姿勢を示した