※本記事には『ゴッドオブブラックフィールド』第170話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回の第169話では、恭弥たち外人部隊が敵基地での人質救出作戦を成功させ、無事に帰還を果たしました。
ジェラールとの確執や、黒川との再会など、余韻を残すシーンも描かれ、ひとつの章が幕を閉じた印象を受けました。
そして今回の第170話は、その節目を意識してか、物語冒頭にこれまでの経緯を振り返る“総集編パート”が挿入されました。
西恭弥の視点で語られるこれまでの流れは、復讐劇の終わりと新たな局面の始まりを印象づける構成になっています。
本編では、黒川とのやり取りや、ラノックとの面会を通じて、戦いの代償と、その裏にある大国の思惑が浮かび上がっていきます。
見どころ1:黒川とのやり取りに込められた想い
黒川が搬送される直前、恭弥とダエルは彼に声をかけます。
そこで黒川は、自らの判断ミスで隊員13名を死なせてしまったこと、そして恭弥たちを危険に晒してしまったことへの謝罪を口にしました。
黒川「助けていただきありがとうございます。…本当に面目ありません」
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この謝罪の言葉に対し、恭弥は「最終的に勝ったじゃないですか」と返します。

勝敗では測れない喪失があったことは事実ですが、それでも黒川を責めることなく、あくまで「共に得た勝利」と捉えるその言葉は、彼らの間にある絆を象徴するようでした。
さらに、ダエルは少し笑いを交えながらこう続けます。
ダエル「敵はまだゴロゴロいるっすよ。さっさと治して一緒に復讐しに行きましょう」
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緊張感の続いていた戦いの後に、こうした軽口を交えられる関係性が、彼らが戦友であることを強く感じさせます。
この言葉に対し黒川は「この状態じゃ復帰できるかどうか…」と返しますが、それは彼自身が心身ともに限界に近づいていることの表れでした。
私には、黒川のこの言葉が「今後、自分は前線には立てないかもしれない」という覚悟のにじむもののように聞こえました。

おそらく彼は、今後は後方支援という立場で仲間を支える役目を担っていくのではないか──そう思わせる静かな転換点だったように感じます。
見どころ2:ラノックからの“褒賞”に潜む思惑
作戦を終えた恭弥とダエルは、駐日フランス大使館にてラノックと再会します。
ラノックは満面の笑みで二人を迎え、労いの言葉とともにハグを交わします。
ラノック「ムッシュ西、待っていたよ!大変だっただろう?本当によくやってくれた!」
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恭弥は淡々とした態度を崩さず応じますが、ラノックが提示した“報酬”は想像を超えるものでした。
ダエルには5,000万円、そして恭弥には――
- 約35億円の現金
- 約20億円相当のゴント自動車の株
- そして謎のUSBメモリ
この金額の大きさは、単なる感謝の域を超えており、国家間の駆け引きの延長線にあることを感じさせます。
それを受けた恭弥は、冷静な一言を返します。
恭弥「金ならすでに一生使っても使い切れないほど持っているので、お気持ちだけいただきます」
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この一言には、彼が金銭に執着していないことがはっきりと表れていました。
しかし、ラノックの本題はここからでした。
ラノック「もしかするとロリアムで会った友人たちが、私に…いや君に作戦を頼むことがあるかもしれない」
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つまりこの“褒賞”は、将来の協力を期待しての“投資”でもあるのです。

表向きには友情や感謝を装いながらも、裏では恭弥を戦場に繋ぎ止める布石が打たれている。この場面には、外交と諜報の世界の重たさが垣間見えました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第170話
第170話では、黒川との対話を通じて「仲間を失った痛み」と「生き残った者の責任」が描かれました。
そして後半では、恭弥とラノックのやり取りから、国家間の思惑が褒賞という形でじわりと迫ってくる様子が明らかになります。
特に印象に残ったのは、金銭よりも仲間の命を優先する恭弥の姿勢と、それを当然と捉える彼の価値観でした
一方で、褒賞の名のもとに次なる火種が水面下で準備されているような、不穏な兆しも見え隠れします。
──渡された「USBメモリ」の意味は明かされぬまま。
170話は、新たな戦いの始まりを静かに予感させる締めくくりとなっていました。
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