※本記事には『ゴッドオブブラックフィールド』第187話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回の186話では、ダエルが購入した土地にまつわるトラブルが発覚し、恭弥が「金ではなく行動の線引き」を明確に示した回となっていました。
さらに、日常生活と非日常の行き来が徐々に変化している印象も見受けられました。
今回の187話では、その流れを受けて学園編のひと区切りとなる出来事が描かれます。
表彰式と別れ、そしてそれぞれの決意が並行して描かれる構成には、今後の展開へ向けた布石が多く含まれているように思えます。地味に見えて中身の濃い、転換点となる一話でした。
見どころ1:不動産トラブルと恭弥の対応
喫茶店のシーンから物語は落ち着きを取り戻しますが、恭弥は言葉でダエルをさとします。
土地購入でトラブルに巻き込まれた直後、ダエルは悔しさを隠せず、怒りの矛先を暴力団まがいの連中に向けます。しかし、恭弥はそれを正面から制止しました。
恭弥「不動産屋とさっきのヤツらをシメることくらいいくらでもできる。だけどそんなことしたら暴力団と何が違うってんだ?」
©Kakao piccoma Corp.
この一言は、力を持つ者こそ選ぶべき「境界線」を象徴していると思います。恭弥は状況をすべて見抜いた上で、力ではなく理屈でケリをつけました。

その姿は、かつて傭兵として生きていた彼だからこその「引くことの価値」を知る者の態度に見えます。
そして、ダエルもまた、ただ感情で動くだけの存在ではなくなりつつあります。ぶつけどころのない怒りをこらえつつ、しばらくの沈黙ののち、しぶしぶではありますが納得の返事を返します。
ダエル「はぁ・・・ わかったっすよ。もう忘れるっす」
©Kakao piccoma Corp.
ここで描かれたのは、「我慢」という一種の強さです。ダエルはまだ未熟な面もありますが、この会話を経て一段階成長したようにも思えました。
私が特に印象に残ったのは、恭弥の「契約金の一千万はもったいねえけど~」という現実的な評価です。

感情論ではなく、冷静な損切りと判断の早さが、彼のキャラクター性を明確にしています。単なる損失を、次への糧とする視点こそ、彼の魅力のひとつだと感じました。
見どころ2:始業式の表彰と白井との別れのひととき
始業式の日、恭弥は学校で表彰されるという展開を迎えます。校長の言葉により、フランス国立大学への全額奨学生に選ばれたことが公に知らされる中、本人の反応は淡々としたものでした。
校長先生「ちなみに西君は大使の推薦でフランス国立大学の全額奨学生に選ばれました!これは開校以来初めての快挙です!」
©Kakao piccoma Corp.
私はこの場面で、恭弥がこの手の式典にあまり関心を持っていないことが明確に描かれていると感じました。加えて、須賀(=ダエル)から何度も茶化されているため、やや不機嫌な表情すら垣間見えます。

結果的に、このイベントは彼にとって「誇らしいこと」ではなく、「早く終わってほしい儀式」だったのでしょう。
一方で、物語後半では白井美紅との時間が描かれました。学校では会えなくなるという状況に、白井は不安げな表情を見せつつも、素直に想いを伝えています。
白井美紅「一人で先に行っちゃダメだからね!絶対だよ?」
©Kakao piccoma Corp.
このセリフからは、白井がどれだけ恭弥の存在を支えにしていたかが伝わってきます。
これまでの関係性を踏まえると、こうした心情の吐露は自然な流れと言えるでしょう。白井の寂しさと願いが、きちんと本人の言葉として表現されていた点に注目しました。

私としては、この一連のやり取りにより、物語の舞台が学校から一段階進んだ印象を受けました。
もともと学園生活に深く関わっていたわけではないものの、ここで「制服におさらば」と語った恭弥の内面には、次のフェーズへと移るための自覚が芽生えていたように見えます。
展開としても、学園編の一区切りとして機能しており、今後の舞台設定にも影響を与えそうです。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第187話
第187話は、恭弥の身辺における「学園生活の整理」と「裏社会との距離感」をはっきりさせる回だったと言えます。
特に注目すべきは、ダエルに対して「暴力団と同じになるな」と釘を刺した場面です。これにより、恭弥があくまで「力を持ちながらも使いどころを選ぶ」存在であることが再確認されました。
また、学校生活の終わりを象徴する始業式のシーンでは、恭弥自身が制服に別れを告げる描写があり、物語のステージが一段階進むことが示唆されます。
恭弥と白井のやりとりも含めて、「日常」と「非日常」の境界が再び移り変わる構造が丁寧に描かれていたと考えられます。