※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第209話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回のエピソードでは、セルパン・ブニムーの報復によって、周防の家族が全員命を奪われるという衝撃的な事件が明らかになりました。
その知らせを受け、日本へ帰国しようとする周防を見送りながら、恭弥たちの表情にも重い空気が漂っていました。
今回の第209話では、一転して学園を舞台にした日常の場面へと移ります。
姫野は学園祭の運営リーダーとして奔走し、恭弥にも協力を求めながらも、別件で服選びに付き合わせます。
そしてその中で出会ったスタイリストとのやり取りを通じて、姫野の中に「将来こうなりたい」という新しい気持ちが生まれていく様子が描かれました。
見どころ1:姫野リナの「変わりたい」という意思表明
学園祭を口実に、恭弥へ次々と要求をしていく姫野。
彼女の要求は相変わらず強引でした。「芸能人を呼んで」「服も選んで」「買い物も付き合って」――と、あまりに堂々としていて、あの恭弥すら押し切られるほど。
そんな彼女を前に、恭弥は思わずこんなふうにこぼしています。
恭弥『本当に変なヤツだ。総理大臣に駐日フランス大使、ギャングにテロリストもこんな堂々と要求してこない。それなのに・・・どうしてコイツだけ例外なんだ?』
普段どんな大物にも動じない恭弥が、姫野の「押しの強さ」にはたじろぐ。

そのギャップには、恭弥の「素の表情」が垣間見えるようでした。けれど、その強引さの奥には、彼女なりの「真剣さ」や「迷い」が隠れていたのかもしれません。
服選びのシーンになると、彼女の態度は少し変わります。
姫野は最初に、いつものようにお腹の出る服を選んで見せました。恭弥はそれを見て「腹を出すな」と苦言を呈します。
すると姫野は、素直に次の服を手に取り、「じゃあこれは?」と露出を抑えた服を差し出しました。
けれど、服選びそのものに疲れてきた恭弥は、深く考えずに「もうそれにしろ」と答えてその場を切り上げようとします。
そんな彼の態度に、姫野は食い下がります。
姫野『見た目からでも平凡な学生になりたいの!』
適当に済ませられては困る、彼女にとっては、ただの服選びではなかったからです。

少し気恥ずかしさをにじませながらも、はっきりと告げたこの言葉には「変わりたい」という思いがストレートに込められていました。
ここで感じたのは、ただの服の話ではない、ということです。姫野は、見た目だけでも「普通」になろうとしている。それは、過去の自分に別れを告げるような気持ちなのかもしれません。
見どころ2:姫野が見出した「初めての将来像」
姫野の服選びに困った恭弥は、芸能事務所の代表であるミシェルに連絡を取りました。頼みたかったのは、服のアドバイスをしてくれるスタイリストを手配してほしい、というお願いです。
けれどミシェルは、あっさり「いいよ」とは言いません。スタイリストを派遣する代わりに、デートをしようと条件を提示してきました。
その瞬間、恭弥の脳裏にはあることがよぎります。
恭弥『忘れてた・・・タイプは違えど、ミシェルも姫野に負けず劣らず手に負えない女だっていうことを・・・』

恭弥のまわりには、なぜか「押しの強い女性」が集まりやすいようです。姫野は思ったことをそのままぶつけてくるタイプで、ミシェルは駆け引きや雰囲気の作り方がうまいタイプ。
やり方は正反対でも、どちらも自分の意志をしっかり通してくる点ではよく似ています。
そして恭弥は、そんな彼女たちにペースを乱されながらも、なぜか拒絶することなく、ちゃんと相手をしてしまうのです。その「振り回されぶり」もまた、彼の魅力なのかもしれません。
そんな流れの中で、姫野の様子に少し変化が見え始めます。スタイリストに服を選んでもらっていた姫野は、ふとした瞬間に、自分の未来について口にしました。
姫野『見つけた・・・あたしのロールモデル』
姫野が「自分は将来こうなりたい」とはっきり言ったのは、おそらくこれが初めてでしょう。
これまでは、いつも恭弥のことばかりを見て動いていた彼女が、ようやく「自分のための目標」を見つけたのです。

しかもそのきっかけが、「誰かに言われたから」ではなく、「実際に自分の目で見て感じたから」だったというのが、とても自然で説得力があります。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第209話
- 姫野が学園祭の運営として動き出す
- 恭弥は学祭の協力メンバーとして巻き込まれる
- 姫野は有名芸能人を呼びたいと大胆に提案する
- 服選びの流れで姫野が恭弥を買い物に連れ出す
- ミシェルがスタイリスト派遣と引き換えにデートを持ちかける
- 恭弥は姫野とミシェルの「手に負えなさ」に振り回される
- 姫野が「平凡な学生になりたい」と本音を吐露する
- スタイリストとの出会いを通して将来の夢を見つける
- 次回記事:210話:「好きな人がいる」と恭弥が語った夜
- 前回記事:208話:世論を武器にした周防の巧妙な策
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