※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第210話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回の第209話では、姫野リナが「普通の学生になりたい」という気持ちから恭弥に服選びを頼み、最終的にはスタイリストを目指す決意を口にしました。
一方で、恭弥はそのためにミシェルと取引を交わし、夕食を共にする約束を取り付けられてしまうなど、私生活がじわじわと賑やかになっていきます。
第210話では、ミシェルとの食事の中で、彼女が見せた思いやりと執着のない愛情が印象に残ります。
さらに翌朝、自宅で両親と過ごすひとときの中に、テレビのニュースや黒川からの連絡を通して、新たな局面の予兆が忍び込んできます。
見どころ1:ミシェルとの夕食シーン──“幸せ”の定義を揺さぶる夜
スタイリストとの買い物を終えた恭弥は、その足でミシェルとの食事に向かいました。
場所は新宿区の高級レストラン。案内された個室には、テーブルの上にいくつもの紙袋が並んでいました。
中身はすべて、ミシェルが選んだ高級ブランドの服。それも、恭弥だけでなく、彼の両親の分まで用意されていたのです。
ミシェル『これはキョウヤとご両親のよ』
このセリフに対して、恭弥はシャツ1枚の値段が50万円と知り、思わずツッコミを入れてしまいますが、驚くのは当然でしょう。
「重要な場面にふさわしい服装を」というミシェルの気遣いは、確かに筋は通っています。
ただし、それが彼女なりの愛情の表れだとわかっていても、あまりに突き抜けた厚意は、受け取る側にとって「重さ」になりかねません。

しかしそれでも、彼女は渡したいと思った。それだけで充分に、本気の想いが伝わってくるのです。物質の価値でなく、行動の背景にある「相手の未来を考える気持ち」が、このシーンの見どころだと感じました。
夕食の終盤、恭弥はぽつりと「好きな人がいる」と口にします。
それを聞いたミシェルはいつもと変わらない雰囲気で受け止めました。
相手が自分でないことを悟りながらも、恭弥の気持ちを否定することはなく、そして真っ直ぐに気持ちを伝えます。
ミシェル『何はともあれキョウヤには幸せになってほしい』
この言葉に込められた思いは、恋愛感情の先にあるものだと感じました。
自分の立場や期待を押しつけるのではなく、ただ「あなたが幸せならそれでいい」と願えること。

それは簡単にできることではありません。特に、想い人の口から「好きな人がいる」と聞かされた直後なら、なおさらです。
報われるかどうかよりも、相手が自分の人生を悔いなく歩めるか、ミシェルの言葉はそんな願いに満ちていました。
見どころ2:自宅での会話ににじむ、平穏と不穏の境界線
朝になり、恭弥は自宅のリビングで両親と共にくつろいでいました。
テレビから流れるニュースを眺めながら、久々に家庭らしい時間を過ごしていたそのとき、母・花恋がふと声をかけます。
きっかけは、ミシェルが贈ってくれた高級ブランドの服でした。値段の張る贈り物に込められた意図を、花恋は見逃しませんでした。
西花恋『もしかしてミシェルさんと付き合ってるの?』
花恋の問いかけには、単なる好奇心ではない、親としての懸念が感じられました。
「美人で礼儀正しい人ではあるけれど、年齢や国籍の違いが心配」という戸惑いが、言葉の端々からにじみ出ています。
一方で恭弥は、感情を荒立てることなく「付き合っていない」と否定します。その言い方には、母親の気持ちを理解したうえで、自分の立場を明確にする冷静さがありました。

家族との信頼関係を壊さない距離感を保ちながらも、必要な一線はきちんと引いている。恭弥のそうした「間合いの取り方」には、ある種の誠実さがにじんでいました。
母の問いに対する答えで場が落ち着いたのも束の間、テレビの画面から衝撃的なニュースが流れてきます。
「大西洋と太平洋で、ほぼ同時に海底地震が発生した」という報道。
その言葉を聞いた瞬間、恭弥の表情に微かな変化が走ります。家族の前では表に出しませんが、その内心はすでに次の「何か」を察知していました。
恭弥(…海底地震?他の国も大変そうだな)
このセリフの登場により、ニュースは単なる背景ではなくなりました。

恭弥に「あえて反応させる」という演出からは、制作側がここに意味を持たせていることが伝わってきます。恭弥の視線が再び世界へと向くとき、それは新たな嵐の到来を暗示するサインなのかもしれません。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第210話
- 恭弥はミシェルとの食事に応じ、高級服の贈り物を受け取った
- ミシェルは恭弥の幸せを願い、自身の恋心には踏み込まなかった
- 恭弥は「好きな人がいる」と明言し、関係に一定の線引きをした
- 母・花恋がミシェルとの交際を疑い、率直に問いかけた
- 恭弥は付き合っていないと答え、両親の前で明確な態度を示した
- 海底地震のニュースに対し、恭弥が内心で反応を見せた
- 次回記事:211話:黒川がグランドサークル掃討作戦を立案
- 前回記事:209話:姫野の服選びを巡って恭弥が困惑
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