※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第217話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、恭弥が周防の護衛人数の多さを受けて作戦を変更し、煉谷や京極ら精鋭たちに協力を要請しました。そして、ホテルオリンポスにて総勢14人による討伐チームが結成されます。
そして今回は、ついにそのチームが渋谷の周防邸へと出発。戦いの舞台となる「要塞のような豪邸」に足を踏み入れた彼らを待っていたのは、敵の余裕と挑発に満ちた迎え入れでした。
見どころ1:煉谷の檄と恭弥へのバトン
あとから合流した京極や煉谷たちのために、黒川がこれまでの詳細な経緯を説明します。
その中で、今回の作戦が総理にすら知らせず進められていることが明らかになり、場の空気は一気に緊張感を帯びていきました。
説明を受けた煉谷は、即座に状況を把握し、「全面的に支持する」と宣言。そして部隊の士気を高めるべく、自らの言葉で隊員たちを鼓舞します。
煉谷「死を恐れず戦い――必ず生きて勝利を掴むんだ!」
©Kakao piccoma Corp.
この一喝には、国家を背負う重責と、現場で命を懸けてきた男の説得力が宿っています。
ベテランとしての貫禄を見せつけた煉谷は、すぐに若き司令塔である西恭弥にバトンを渡しました。
バトンを受け取った恭弥は、「今回は遠慮なく周防を殺しに行く」と明言。さらに、先に撃たせて正当防衛を成立させるという冷静な戦術も加え、現場の指揮官としての覚悟を示します。

このシーンで印象的だったのは、年長者としてチームを鼓舞する立場でありながらも、現場での指揮を恭弥に一任した点です。
これは、煉谷が恭弥の実力を信頼している証であり、自分の役割を明確に理解しているからこそできた判断だと思います。
そして何より、こうした重厚な場面で、恭弥がしっかりとその信頼に応えてみせます。もはや彼は若くして凄腕という次元を超え、「信頼される指揮官」として描かれています。
見どころ2:檄と告白、煉谷の二つの顔
作戦会議を終えた一行は、いよいよ周防邸へ向かうため、ホテルオリンポスの地下駐車場へと移動します。車に乗り込む直前、煉谷は恭弥に声をかけました。
彼は自分たちの覚悟を語りつつ、「西さんは生き残るべき人間だ」と真摯に伝えます。任務の責任者としてではなく、一人の若者の未来を案じる言葉でした。
その姿勢に触れた恭弥の胸には、過去の記憶がよぎります。
恭弥(シャフランみたいなクソ野郎じゃなくて、この人がオレの上官だったら・・・)
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かつて己の命を使い捨ての駒のように扱った上官・シャフランと、いま目の前にいる煉谷の在り方は、あまりに対照的でした。
煉谷は作戦前に隊員たちへ向けた言葉では「必ず生きて勝利を掴む」と檄を飛ばし、戦う者としての誇りと希望を語っていました。
一方、恭弥にだけは「ここで死んでも悔いはありません」と語り、自らの死をも受け入れた覚悟を見せています。

この対比がとても印象的です。部下には士気を高める言葉を選びつつも、恭弥に対しては本音を打ち明ける。年長者として、命の重みもリスクも理解したうえでの配慮だったのかもしれません。
それに対し恭弥は、「この人がオレの上官だったら…」と胸の内でつぶやきます。
この一言には、かつての上官シャフランへの憤りと、煉谷への信頼が同時に込められているように感じました。
命を使い捨てるように扱った人間と、自分を生かそうとする人間。その落差が、恭弥の心を強く揺さぶったのでしょう。
見どころ3:周防の傲慢な迎え入れ
恭弥たちは、ついに周防の自宅へと到着します。到着してすぐ、煉谷の「攻城戦になる」という言葉が誇張ではなかったことを全員が実感することになります。そこには、大学の敷地を思わせるほど広大な庭と、まるで学校のような巨大な建物、そして3~4メートルもある高い塀がそびえ立っていました。
まずは正面から堂々と侵入するため、煉谷がインターホンを鳴らそうと近づきます。しかしその直前、門は自動的に開き、「ようこそ、どうぞ皆さんお入りください」と不気味な歓迎の声が流れました。敵がすでに状況を把握していることは明白です。
恭弥たちは、林のような庭を慎重に進んでいきます。銃で狙撃されてもおかしくない地形の中で、全員が無言で警戒を強めながら前進します。
恭弥(知られていようがいまいが関係ねぇ。何がどうあれ…周防は今日ここで殺す)
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やがて視界が開けると、そこには陸上グラウンドほどもある広い中庭と、30人の屈強な男たちの姿が現れます。
その直後、さらなる護衛たちを引き連れて、周防本人がついに建物から姿を現します。長きにわたる因縁を持つ2人が、ついに同じ空間で対峙することになったのです。

この場面で印象的だったのは、恭弥たちが命を懸けて突入しようとしているにもかかわらず、周防側が門をあっさりと開けてしまったことです。
煉谷がインターホンに触れる前に「ようこそ」と迎え入れたその態度からは、明らかに恭弥たちを見下している様子がうかがえました。
状況を把握しつつ、あえて隙を見せるという振る舞いは、舐めていると言っても差し支えないでしょう。
そして最後に、さらに驚かされたのは周防本人が建物から出てきたことです。
部下を前線に立たせるのではなく、自ら姿を現す…これは威圧でも挑発でもなく、むしろ「自分が負けるはずがない」と信じ切っているような驕りに近いものです。
警戒心を持たずに姿を見せるその行動は、恭弥たちを脅威と見なしていないことの裏返しだと感じました。
こうした細やかな描写の積み重ねが、周防の傲慢さと、恭弥たちの静かで揺るがない決意を際立たせていました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第217話
- 煉谷が「死を恐れず戦え」と部隊を鼓舞し士気を高める
- 指揮権を恭弥に委ね、作戦の実行責任を託す
- 恭弥が「周防を殺す」と明言し作戦方針を明確化
- 恭弥が煉谷の言葉に感銘を受け、過去の上官と比較する
- 周防邸は想定を超える広さで「攻城戦」の言葉が現実化
- 煉谷が門のインターホンを押す前に自動で門が開く
- 恭弥たちが林を抜けて中庭に進入し30人の護衛と対峙
- 周防が護衛4人を連れて自ら姿を現し恭弥と対面する
- 次回記事:218話:周防のアメリカ国籍への対処法
- 前回記事:216話:周防襲撃に向けて全戦力が集まり作戦会議
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