※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第226話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、沢村首相が内閣情報官の辞表を突き返し、恭弥をユニコーン事業の担当に推す方針を固めました。さらに、恭弥のもとにはラノック大使も現れ、各国の思惑が交錯する中で再び緊張が高まります。
そして今回は、ついに内閣情報官・楠木秀一が恭弥の前に姿を現します。国家からの重大な任命をめぐって、恭弥がどんな選択を下すのかが描かれる回となりました。
見どころ1:恭弥、ユニコーン委員長を即断る
内閣情報官・楠木秀一が、仁道病院に入院中の恭弥とダエルのもとを訪れます。
楠木はまず、テロ事件で重傷を負った煉谷隊長の容態に言及します。生死の境を彷徨っているが、自ら「挑発した」したことで、必ず目覚めるという自信をのぞかせていました。
その流れで、以前に首相と内閣情報官が取り決めていた「恭弥をユニコーン事業の設立委員長に任命する」という話題が持ち出されます。
待遇は次官級で、年間予算は100億円。命令権は内閣情報調査室の次に位置し、職員の雇用数に上限もないという破格の条件でした。
しかし恭弥は即座にこう答えます。
恭弥「お断りします」
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理由として、高校生にそんな重要ポストを任せるべきではないという常識的な感覚と、自分の性には合わないという素直な思いを口にしました。
楠木はそれでも笑みを崩さず、提案の主が自分であることを明かしつつ、考える時間を与えるとだけ言い残して立ち去ります。

この場面で印象的だったのは、やはり楠木からの異例すぎる提案を、恭弥が迷いなく断ったところです。
予算・権限ともに破格、国家レベルの要職を任されるチャンスにもかかわらず、高校生である自分の立場を踏まえ、「それは性に合わない」とはっきり突っぱねた恭弥の姿勢に、芯の強さとぶれない価値観がよく表れていました。
また、ただ断るのではなく、笑顔であっさりと「お断りします」と返したあたりに、彼らしい余裕と反骨精神が見て取れます。
国家権力さえ手玉に取れるほどの強さを見せつけてきた恭弥ですが、この場面では「やらない強さ」が際立っていました。
一方で、恭弥が病室を後にした楠木に対して「ラノックみたいなヤツがいたとは…」と口にする場面も興味深いです。
国際的な政治の場で鍛えられたラノックに通じる気配を、楠木にも感じ取ったということでしょう。

表面上は柔らかく、しかし腹の底では国家を動かすような手腕を持つ男に、恭弥が一目置いた瞬間だったように感じられました。
見どころ2:両親への連絡を避けた本音
恭弥とダエルは、病室で戻ってきたスマホを確認し、大量の着信履歴に驚きます。
連絡をくれた相手はスミセン、ミシェル、神代、そして実家からも3回。
ダエルに「どこから折り返すのか」と聞かれた恭弥は、真っ先にスミセンを選びます。しかし、実家への連絡を最後に回したことには理由がありました。
恭弥「何ていうか・・・今は両親の声を聞く自信がないんだ」
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おそらく、事件の現場で母の目の前で敵の首を折った記憶が、心に重く残っているのでしょう。

この場面で意外だったのは、恭弥が「今は両親の声を聞く自信がないんだ」と素直な気持ちを吐露したところです。
これまで修羅場を幾度もくぐり抜けてきた彼が、ここまで弱気な姿を見せるのは非常に珍しいことだと感じました。
それだけ、恭弥にとって家族は特別な存在なのでしょう。

とりわけ両親には、自分が命を奪うような世界に身を置いていることを、なるべく知られたくなかったのかもしれません。
母の目の前で敵を倒したあの出来事は、恭弥自身にも深く刺さっていたはずです。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第226話
- 楠木情報官が仁道病院の恭弥とダエルを訪問する
- 煉谷隊長は瀕死だが「挑発」により回復に希望があると語られる
- 恭弥にユニコーン事業の委員長就任という破格の提案が出される
- 恭弥は「性に合わない」としてその提案を即座に断る
- 国家権力を前にしてもぶれない恭弥の価値観と意志が強調された
- 恭弥は楠木に対し、政治家ラノックに似た只者ではない印象を受ける
- スマホの着信履歴から実家への連絡を最後にする恭弥の心情が描かれる
- 家族にだけは弱さを見せたくない恭弥の葛藤が垣間見えた
- 次回記事:227話:恭弥が家族の存在の大きさを再確認する
- 前回記事:225話:国際情報戦にロシアが加わる緊迫の情勢
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