※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第230話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、恭弥が自らの資産が230億円に膨らんだことを知り、ラノックとの会話を通じてその扱いを考え始めました。また、仁道病院で飛び降り自殺を図った少女のために、輸血という形で命を繋ぎます。
そして今回は、少女がかつて恭弥たちの学校でいじめを受けていた生徒だったことが明らかになり、ダエルの口から驚きの記憶が語られます。さらに、首相官邸では恭弥の両親が招かれ、国家的な思惑が少しずつ浮かび上がっていきます。
見どころ1:転生者に宿る「肉体の記憶」
恭弥は病室で、小林梓(こばやし あずさ)という生徒が意識不明の重体で運ばれてきたことを知ります。
かつて自分もいじめを苦に命を落とした経験があるからこそ、意識の有無にかかわらず「声をかけてあげたい」と氷室院長に面会を申し出ます。
氷室はその場では了承できなかったものの、両親の許可が取れれば応じる姿勢を見せました。
一方で、ダエルが小林梓について詳しい理由に疑問を抱く恭弥。昨年の出来事であるはずが、転生して教師となったダエルが「当事者のように知っている」のです。
ダエルは戸惑いながらもこう言います。
ダエル「上手く説明できねえっすけど、実際に見て聞いたかのように記憶が残ってるんす」
©Kakao piccoma Corp.
恭弥は「体に残った記憶」が影響している可能性に言及しつつも、深追いはせず会話を切り上げます。

この場面で印象深かったのは、ダエルの記憶に関する描写です。
本人も戸惑いを見せていましたが、ダエル自身は体験していないはずの出来事を、まるで「当時そこにいたかのように」覚えているというのは、単なる転生以上の意味を持ち始めています。
魂と肉体がよりシンクロするようになった結果、ダエルが肉体の記憶へもアクセスできるようになったとかでしょうか?
見どころ2:楠木の言葉に込められた誘導
首相官邸では、西恭弥の両親である西誠司と西花恋が、沢村総理からの招待を受けて訪問していました。
食事の席で、沢村総理は恭弥への感謝を述べつつも、世間の目があるため直接的な礼が難しいことを説明し、代わりに両親を招いたと伝えます。
続いて楠木情報官が、恭弥が特例で東王大学に入学する見込みであること、さらにフランスが彼の帰化を希望しているという状況を説明しました。その上で、こう発言します。
楠木「西君のような優秀な人材を外国に奪われないようにお二人にもご尽力いただけますと幸いです」
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言葉を添えるように「強制ではない」と釘を刺しますが、母・花恋の表情には緊張が走っていました。
原田官房長官からは、緊急時の連絡先として名刺が渡され「何かあれば24時間体制で対応する」との心強い言葉も添えられます。
一連の会話の中で、恭弥の功績に対する報酬と、それに伴う政治的な配慮が見て取れる場面でした。

この場面で感じられたのは「強制ではない」と繰り返しながらも、実質的には恭弥の進路に一定の「誘導」が行われているという空気です。
楠木の言葉遣いは丁寧で、あくまでお願いという体裁を保ってはいますが、その実、政府としての本音が漏れている印象を受けました。
特に「ご尽力いただけますと幸いです」という表現は、一見柔らかく聞こえる一方で、相手に「協力するのが当然」という前提を持ちかける言い回しです。
国のために尽くしてきた恭弥に対し、彼の家族にもその延長線上で動いてほしい…そんな思惑が透けて見えるようでした。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第230話
- 恭弥は意識不明の小林梓に声をかけたいと面会を申し出た
- ダエルが昨年の出来事を知っていることに恭弥が疑問を抱いた
- ダエルの体には前任者の記憶が残っている可能性が示唆された
- 魂と肉体が結びつく描写に転生設定の新たな広がりが見えた
- 首相官邸で恭弥の両親が沢村総理らと会食する場面が描かれた
- 楠木が東王大入学と帰化阻止の裏事情をやんわりと説明した
- 「強制ではない」発言の裏に国家の本音と誘導が見え隠れした
- 次回記事:231話:昏睡状態の小林梓に語りかける恭弥
- 前回記事:229話:転生前の記憶を語り始めるダエル
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