※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第233話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、ラノックが恭弥の病室を訪れ、ロシアのヴァシリが「仲裁」を名目に来日を希望していることを伝えました。恭弥は戸惑いながらも、彼と直接会う方向で動き始めます。
そして今回は、小林梓が意識を取り戻したことを皮切りに、退院後の恭弥がさまざまな人々と再会する様子が描かれます。やがて、思いがけない人物との接点や、家族に知られてしまった「戦いの全貌」も浮かび上がってきました。
見どころ1:国際政治学者との思わぬ接点
恭弥とダエルが病院の屋上で朝の空気を感じていたところへ、息を切らした様子の氷室院長が姿を見せました。
彼の口から伝えられたのは、小林梓が意識を取り戻したという朗報です。
恭弥はすぐに安堵の表情を浮かべますが、彼女は恭弥からかけられた言葉を覚えていない様子だと知らされます。
それでも恭弥は「目を覚ましたならそれで十分」と応え、見返りを求めていたわけではないことを明かします。
その日の夜、再び病室を訪れた氷室から「どうしてもお礼が言いたい」と小林の両親が待っていることを伝えられ、恭弥は院長室へ向かいます。
両親は深く頭を下げて感謝を述べ、父親は名刺を差し出しながらこう語ります。
梓の父親「お礼と言ってはなんだが、これでも一応大学で教授をしているんだ」
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それは、稲田大学で国際政治を教える人物のものでした。思わぬ人物からの感謝に戸惑いながらも、恭弥は丁寧に頭を下げるのでした。

この一連の流れで印象的だったのは、恭弥が思いがけず「国際政治」の専門家と繋がりを持ったことです。
梓の命を救ったという出来事が、ただの感謝で終わらず、名刺という形で新たな人脈へと発展する。その流れがとても自然で、かつ含みのある演出に感じられました。
もちろん、梓の父・小林徳則教授がこの先再登場するとは限りません。

しかし、ユニコーン事業を軸に国際政治の火種が各国に飛び火している現状を考えると、こうした専門家との接点は伏線として機能する可能性もあります。
国際的な圧力や交渉ごとで壁にぶつかったとき、彼のような人物の知見が必要になる局面が訪れても不思議ではないでしょう。
見どころ2:恭弥との転生の違いが明らかに
退院を迎えた朝、恭弥とダエルは仁道病院の玄関を後にします。
爽やかな天気の中でダエルが声を上げると、恭弥は「秋だからな」と返し、2人は軽く談笑しながらコーヒーを飲みに行くことにしました。
カフェでは、ダエルが転生後の体に「記憶がある」ことについて話題が及びます。
どうやら彼は比較的初期の段階から体の記憶を保持しており、日本語も問題なく使えているようです。特に印象的だったのは、ダエルが家庭で問題なく過ごせている理由について触れた次の一言です。
ダエル「過去のことを覚えてるおかげで、妻と娘に疑われずにやっていけてるんす」
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その証拠にダエルは新たな身体に宿りながらも、周囲に違和感を抱かせずに適応していました。

このやり取りから浮かび上がるのは、ダエルと恭弥の「転生の仕組み」に微妙な違いがあるという点です。
これまでの描写からは、恭弥が新たな身体に宿った際、自身の意識こそ引き継いでいたものの「肉体の記憶」を持っているようには見えませんでした。
彼は明らかに「別人」として再スタートを切り、恭弥という名前を借りて動き出していた印象です(自殺未遂のショックで記憶があやふやだと周りからは思われていた)。
一方この場面でダエルが語ったのは、最初から体に備わっていた記憶がそのまま自分に入っていたという事実です。つまり、彼の場合は「魂だけが入れ替わった」というより「記憶付きの身体」を完全に乗っ取った状態に近いのかもしれません。
これは非常に興味深い違いです。同じ「転生」という設定でも、その中身は一様ではないという事実が、この何気ない会話から伝わってきました。

今後、二人の「転生メカニズム」の違いが物語にどんな影響を与えていくのかにも注目したくなります。
見どころ3:家族に知られてしまった戦いの全貌
夜、自宅へ戻った恭弥は、玄関で母・花恋に迎えられます。彼女は笑顔で退院を喜び、食卓には父・誠司もそろって、久々に家族3人での夕食となりました。
食事中、花恋は最近の事件について触れます。
西花恋「ユニコーン事業反対派の国が恭弥の邪魔をするために、お父さんとお母さんを狙ったって聞いたわ」
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恭弥は曖昧に返しつつも、両親が元気そうであることにひとまず安心します。

この一連の流れで印象深いのは、ついに恭弥の両親が、彼が巻き込まれている「戦い」の一端を知ってしまったことです。
花恋の口からはっきりと語られた「ユニコーン事業反対派の国が恭弥の邪魔をするために──」という認識は、これまで恭弥がずっと濁してきた「戦いの規模の大きさ」を知られてしまったことを意味します。
それでも、恭弥がひそかに恐れていた「最悪の展開」、すなわち、真実を知ったことで家族が離れていくような事態は回避されました。

花恋も誠司も、息子が置かれている状況をただ責めるのではなく「守ってくれてありがとう」と受け止め、むしろ支える側にまわろうとしている。その姿勢は、恭弥にとって何よりの救いだったはずです。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第233話
- 小林梓が目を覚まし、恭弥は無事を喜ぶ
- 両親との面会で梓の父が大学教授と判明する
- 国際政治の専門家との接点が新たな伏線となり得る
- ダエルは転生直後から体の記憶を保持していた
- 記憶を引き継いでいない恭弥との対比が際立つ
- 花恋が恭弥の戦いの一端を口にし家族に状況が伝わる
- 家族が離れることはなく、恭弥を支えようとする姿勢が描かれた