※本記事には『ゴッドオブブラックフィールド』第274話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は恭弥たちがスペツナズを奇襲し、久住らと連携して敵を撃破して隊が圧倒的勝利を収めました。
そして今回は物資不足と警戒が重なる中、恭弥が衛星通信で得た情報をもとにアルファ地点の敵勢を把握し、夜間行軍で接近して夜明け前に決行する方針を固める様子が描かれます。
見どころ1:恭弥が選んだシンプルな目標
スペツナズが撤退した後、恭弥たちは休息を取っていました。
ダエルは銃弾の残りよりも食料や水の不足を心配し、勝利しても空腹や渇きには耐えられず撤退や死に直結すると訴えます。これに対し恭弥は物資不足を認めつつも、スペツナズが残した物資を利用するのは毒や罠といった危険が大きいと判断し、安易に手を出すのは避けました。
部隊の隊員たちは初めての実戦に勝利し、自信に満ちた表情を見せていました。恭弥はその高揚感を評価しながらも、恐怖より自信が上回る今こそ最も危険な時期だと感じます。気の緩みで命を落とさせないよう、ダエルと共にしっかり目を配ろうと心に決めました。
やがて夜が更け、恭弥はひとり警戒を続けます。その胸中には、スペツナズの出現がヴァシリの裏切りによるものだという疑念がありました。
恭弥「スペツナズが現れたということは、どうやらヴァシリが裏切ったんだろう。そっちのことはラノックが上手く処理してくれるだろうし・・・オレがすべきことは——ヴァシリにできるだけ多くの死体を送りつけることだ」
©Kakao piccoma Corp.
さらに20時が近づくと、偵察に出るかどうかの判断を迫られます。恭弥は昼間から胸騒ぎを覚えており、裏切りや待ち伏せなど見えない危険が潜んでいると直感していました。
そんな緊張の中で表情が険しくなり、ダエルから仲間たちに不安を与えると指摘される場面もありました。気を緩めるために好きな女性のことを考えてみろと勧められ、恭弥は夜空を見上げながら白井美紅の顔を思い浮かべるのでした。

このシーンで印象的なのは、ヴァシリの裏切りをほぼ確信しながらも、恭弥がそれ以上深く考えず、ラノックに処理を委ねる姿勢を見せた点です。
恭弥は疑念を抱えつつも、復讐心や焦燥にとらわれることなく、自分ができることを明確に見定めています。そのうえで「敵を減らす」というシンプルな目標に徹する姿は、戦場で生き抜いてきた経験から導かれる合理的な結論だと思えました。
見どころ2:衛星通信で判明した敵情
20時を迎え、衛星電話に本部からの連絡が入ります。
ジェラールは、スペツナズはすでに撤退し、SBSがアルファ地点に駐屯していると報告しました。恭弥はその情報を受けて現地の状況を整理し、本部の連絡内容を踏まえて今後の方針を固めます。
ジェラールの報告でアルファ地点の敵勢力の規模が明らかになり、情報面で有利になりました。先ほど決意した「ヴァシリにできるだけ多くの死体を送りつける」という思いを実行に移すため、恭弥はSBSと交戦する覚悟を固めます。
恭弥「ここからアルファまで歩いて4時間かかる。23時までここで休憩を取り、夜間行軍でアルファ地域まで移動した後、夜明け前に作戦を決行する。目標は当然・・・敵の全滅だ」
©Kakao piccoma Corp.
隊員たちの士気を維持しながらも過信を戒め、最小限のリスクで目標を達成しようとする指揮の姿勢が際立っていました。

このシーンで特に際立っていたのは、得られた情報が戦況の主導権を大きく動かした点です。
スペツナズの撤退とアルファ地点にSBSが駐屯しているという報告により、相手の人数と配置が具体的に分かり、攻撃するか否かをこちらの都合の良い時間と条件で決められるようになりました。情報が「選択肢」を生み出す描写が、とても効果的でした。
続く流れでは、夜間行軍→夜明け前の決行というプランに落とし込んだ点が戦術的で興味深いです。補給の不安や伏兵の懸念はありますが、まず休息を取ってから接近する判断は合理的です。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第274話
- ダエルは食料と水の不足を深刻に指摘した
- 恭弥はスペツナズの残した物資を毒や罠のリスクから使用を控えた
- 隊員たちは初の実戦勝利で自信を深めた
- 恭弥とダエルが士気の高揚による油断を抑えるために目を配った
- 恭弥はヴァシリの裏切りを疑い、処理はラノックに任せた
- 衛星通信でスペツナズ撤退とSBSの駐屯が確認され情報優位を得た
- 恭弥は23時まで休息して夜間行軍、夜明け前に決行する作戦を指示した
- 次回記事:275話:恭弥が育成を意識し先頭を久住に任せる
- 前回記事:273話:ラノックがヴァシリの態度から勝利を確信
- 総リンク:『ゴッドオブブラックフィールド』全ての感想記事リンク一覧
- 用語記事:登場人物・主要キャラ・用語まとめ