※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第287話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、アンヌが恭弥へ緊急の連絡を入れ、ラノック失踪の知らせを届けました。恭弥は状況を確認するため、急ぎフランス大使館へ向かいました。
そして今回は、恭弥が大使館で情報を集めつつ、各国へ協力を要請し始めます。緊張が高まる中、彼がどのような判断を下すのかが焦点となる回です。
見どころ1:恭弥が示した「後継者」としての姿
フランス大使館では、恭弥が迅速に状況整理を進めていました。ザビエの所在を確認すると、安西たちへ確保を指示し、フランス側の要員とも連携して行動に移します。限られた時間の中で、必要な対応を迷わず進めていく様子が描かれていました。
しばらくすると、大使館の直通電話にルートヴィヒから連絡が入り、恭弥は落ち着いた様子で応対します。先ほど即答できなかった理由を述べたルートヴィヒは、改めてKSKの召集を承認し、指揮権をG・O・Bに渡すことを伝えました。恭弥は礼を述べ、次の手順へとすぐに意識を向けていきます。
続けてロシア大使のヴァシリへ電話をつなぎ、恭弥はスペツナズの投入を依頼しました。会話は緊張感のあるものになりましたが、ラノック拉致の背景を察したヴァシリは最終的に協力を承諾し、こちらにも指揮権を渡す判断を示しました。
大使館職員の提案により、フランス情報局へも連絡を入れ、ラノックの状況と各国の反応を共有しました。恭弥は外人部隊の召集と指揮権の委譲を求め、情報局側も短い間で準備に入る姿勢を見せます。この時点で、フランス、ドイツ、ロシアが同時に動く異例の事態となり、協力体制が固まりつつありました。
アンヌ「今のキョウヤ・・・ まるで若い頃のお父さんみたい。行動に全く迷いがない」
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その様子をそばで見ていたアンヌは、迷いなく行動を重ねる恭弥の姿に、若い頃の父であるラノックを重ねていました。
このシーンで印象的だったのは、恭弥が「戦闘の強さ」ではなく、「指揮や判断の力」を前面に出し始めたことです。
これまでも状況判断の速さは描かれてきましたが、物語の中心にあったのは圧倒的な武力で状況をねじ伏せる姿でした。恭弥が実力で周囲を黙らせる場面は多く、そこが彼の最大の特徴として描かれていたように思います。
一方で、ラノックが恭弥を後継者として見ている描写は以前から積み重ねられていましたが、恭弥自身に外交官としての素地があるかどうかは、これまで物語の中であまり明確ではありませんでした。恭弥は交渉が得意というタイプではなく、どちらかといえば現場の最前線で結果を出す人物として描かれてきたからです。
だからこそ、今回のように各国と対等に渡り合い、わずかな時間で状況を掌握していく姿は、新しい側面を感じさせました。武力を超えた領域で結果を出し始めたことで、ラノックが後継者に望んだ「幅の広さ」がようやく見えてきたように思います。
見どころ2:恭弥が選んだ「止まらない」判断
黒川からの連絡で、日本の特殊部隊がすでに待機態勢へ入ったことが伝えられます。ほどなくして別の報告が入り、中国でも軍が動き始めていることがわかります。複数の国が同時に緊張を高める展開となりました。
恭弥は心の中で、証拠が不足しているまま中国を疑う危うさを感じながらも、ここで止まってしまえば多くの人間を危険に晒すだけだと判断します。
恭弥(中国大使と佐古田に会いに行って拉致されたんだから、やっぱりここで何もせず指を咥えて待ってるほうがバカをみる。このまま突っ走ろう。それしか道はない!)
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時間が経ち、大使館には安西たちが確保したザビエが連れてこられます。激しく抵抗した形跡が残るザビエを前に、恭弥は即座に協力を求めました。
ザビエは反発しますが、恭弥はセルパン・ブニムーの幹部としてではなく、アメリカ情報局の要員としての協力を必要としていると告げるのでした。
このシーンで印象的だったのは、恭弥が迷いを抱えながらも、状況を前へ進めるために動き続けていたことです。
日本、ドイツ、ロシアと協力が広がっていく流れの中で、恭弥は自分が直接見えている範囲以上の問題まで考えながら判断しているように思えました。危うさを自覚しつつも立ち止まらない姿は、これまでの恭弥とはまた違う重さを持っているように見えました。
さらに、ザビエを前にした場面では、これまでに蓄積してきた情報が形になっていきます。ザビエがアメリカ情報局の人間であることは以前ラノックから伝えられていました(205話)が、その事実がここで明確な「手札」として作用しています。
中国と敵対する以上、アメリカにも協力を取り付けるというのは必然と言える行動でしょう。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第287話
- 恭弥が各国と連携しながら、状況を素早く整理して動き始めた回
- ルートヴィヒとの交渉でKSKの指揮権を確保した展開
- ヴァシリにも協力を求め、ロシアまで動かした点
- フランス情報局にも接触し、多国間での包囲網を築き始めた流れ
- アンヌが恭弥にラノックの面影を感じ取った描写
- 恭弥が武力ではなく判断力と指揮能力を示し始めた点
- ザビエの正体を利用し、アメリカともつながる可能性を開いた展開
- 前回記事:287話:フランス大使館で恭弥に全権が託される
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