※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第293話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は、西恭弥が中国大使館に踏み込み、拉致されていたラノックを救出しました。総理の決断により日本の特殊部隊も動き、最悪の事態を避けた形で作戦は終了します。
そして今回は、救出後の対応として、ラノック主導で各国との調整が進められていきます。戦争を回避したその裏で何が処理され、何が残されたのかが描かれる回です。
見どころ1:戦争回避の裏で進む外交調整
中国大使館を後にした恭弥とラノックは、車でフランス大使館へ向かいながら今回の出来事を整理します。
軟禁されていたラノックは状況を把握できておらず、恭弥から一連の経緯を聞くことになりました。
事情を理解したラノックは、その場で関係各所へ連絡を入れ、派遣されていた兵力の撤収を指示します。
あわせて、日本とフランスの情報機関が正式に協力関係を結ぶ手続きを進める判断を下しました。
ラノック「Safe Travel Bureau. フランス情報局が全ての情報を共有し互いに要員の安全を保障する。いわば情報機関同士の同盟関係だよ」
©Kakao piccoma Corp.
この取り決めにより、日本はフランス管理の衛星を共同利用できる立場となり、情報面で大きな前進を得ることになります。
フランス大使館に到着後、ラノックは娘アンヌと再会します。その様子を見た恭弥は、ふと自身の父親のことを思い出すのでした。
その後、ロシアの助力に伴う政治的な調整や、後日許克(シュー・クー)と会う予定があることが伝えられます。
こうして、事件の後始末の調整が着実に進められていくのでした。
この一連の流れでまず印象に残るのは、ラノックが無事に救出され、最悪の事態である戦争を回避できた点です。
事態は収束に向かい、表面上は大きな区切りがついたように見えますが、その裏では多くの交渉がありました。
恭弥が状況を説明し、ラノックが即座に動いたことで、混乱がこれ以上広がらなかったことが伝わってきます。
この場面で注目したいのは、ロシアの助力を得た代償です。
危機を乗り越えるためとはいえ、これまで積み上げてきた要求を下げざるを得なくなり、貸し借りの関係が一度清算された形になりました。
救出の成功と引き換えに、国同士の力関係が微妙に変化したことが感じられます。
また、このタイミングで日本とフランスの関係が前進する一方、中国との間には確実に溝が残りました。
表立った衝突は避けられたものの、相手の面子を大きく損ねた事実は消えません。
今回の決着は終わりではなく、次の火種を抱えたまま進んでいく合図のようでした。
見どころ2:平穏がまだ遠い食事の場
フランス大使館を後にした恭弥は、ダエルとともに車で移動します。
護衛の安西たちが後方についていることを確かめたうえで、二人は食事に向かうことを決めました。
その途中、恭弥は内閣情報調査室の黒川に連絡を入れます。
黒川はすでに状況を把握しており、合流を申し出ました。こうして、恭弥の提案で事務所近くの焼肉屋に集まることになります。
焼肉屋では、恭弥、ダエル、安西たちと黒川が顔をそろえ、今回の一件について簡単な振り返りが行われました。
恭弥は、自身の判断によってロシアへの要求を下げる結果になったことを気にかけますが、黒川は戦争を回避できた点を重く見て、その判断を肯定します。
一方で、黒川は今回の件が完全な終わりではないことも指摘しました。
黒川「ですが今回の一件で中国のプライドがかなり傷ついたことでしょう。ひとまず一段落しましたが、今後何を仕掛けてくるかわからないので注意が必要です。」
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表向きには穏やかに事態が収束しながらも、次の緊張を予感させる形で場面は締めくくられていました。
この場面で印象に残るのは、事態が収束したあとも、完全な安心には至っていない点です。
焼肉屋という日常的な場所に集まりながらも、話題はあくまで今回の件の余波に向いており、一区切りついたという安堵よりも、次を見据えた確認の時間として描かれていました。
このやり取りから伝わってくるのは、火種がまだ消えていないという感覚です。
戦争は避けられたものの、中国との関係には明確な禍根が残り、いつ何が起きてもおかしくない状況が続いていることが示されていました。
恭弥が自分の判断を振り返る姿勢も、事態の重さを物語っているように感じられます。
恭弥は学園祭やミシェルとの約束など、やり残している日常パートがありますが、それに戻るのはまだまだ先になりそうです。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第293話
- ラノック救出により、最悪の戦争シナリオは回避された
- 事態収束の裏で、各国との外交的な後始末が進められた
- 日仏の情報機関が協力関係に入り、日本の立場が大きく前進した
- ロシアの助力によって、これまでの貸し借りが清算される形となった
- 中国の面子を傷つけたことで、新たな遺恨が残された
- 恭弥が本来戻るはずの日常は、まだまだ先になりそうだ


