※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第301話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回は黒川と楠木が恭弥に中国との情報窓口を依頼し、佐古田の軍事機密流出を裏から崩す方針が示されました。さらに佐古田崇は官房長官の交代を迫り、中国の動きを盾に揺さぶりをかけます。
そして今回は、中国情勢が急変したとの連絡が入り、状況は想定とは違う方向へ動き始めます。ロシアでのラノックの動きと、総理暗殺の可能性を巡る恭弥の思考が描かれる回となっています。
見どころ1:読み違えていた主導権
夜、自室で一人になった恭弥は、母から話題に出された特例入学の件を思い返していました。
明日にでも黒川へ確認しようと考えたそのとき、見知らぬ番号から電話がかかってきました。
電話の主は楊帆(ヤン・ファン)でした。しかしその声色はいつもと違い、どこか切迫した様子がにじんでいます。
短い前置きのあと、彼は唐突に事態の急変を告げました。
ヤン・ファン「本国の状況が完全にひっくり返りました」
©Kakao piccoma Corp.
突然の言葉に戸惑う恭弥でしたが、楊帆は詳しい説明をする余裕がないと語ります。
佐古田崇もすでに中国の異変を察知しているはずだとしつつ、自身は身を潜めている状況で、ラノックとも連絡が取れないため恭弥に先に連絡したのだと明かしました。
さらに、北朝鮮の特殊部隊が動く可能性まで示唆し、十分な説明をしないまま通話は切れてしまいます。
中国絡みの問題は一段落したはずだと考えていた恭弥にとって、それは理解の追いつかない知らせでした。
場面は変わり、夜の佐古田邸では、崇と匠、そして部下が今後の動きを確認しています。
佐古田崇は、官房長官の交代が実現しなければ追加措置が取られるだろうと見通しを語り、内閣情報室長の交代まで進めば勝利は目前だと断言しました。
翌日到着予定の「客人」の存在も示され、佐古田匠には国外で意思を明確に伝える役割が与えられるのでした。
この一連の流れでまず強く感じたのは、情報戦の構図が思っていた以上に複雑だったという点です。
これまでの展開では、恭弥や黒川たちが佐古田側に対して優位に立ち、状況をコントロールしているように見えていました。
しかし楊帆(ヤン・ファン)の連絡によって、その前提が揺らぎます。
中国側で大きな変化が起きているにもかかわらず、恭弥たちはその全貌を把握できていませんでした。
一方で佐古田邸のやり取りを見ると、彼らもまた独自の情報を持ち、水面下で準備を進めていることがわかります。
こちらが相手を出し抜いていると思っていた構図が、実はお互いに情報を隠し合い、探り合う関係だった可能性が浮かび上がりました。
これまで恭弥側が一歩先を行っているように見えていた状況が、実は互角、あるいは読み違えていた可能性すら示唆されるのでした。
見どころ2:逆算から浮かぶ内部の穴
舞台はロシア空軍基地へと移ります。ヴァシリのもとをラノックが直接訪れ、異例ともいえる会談が行われました。
軽口を交わしながらウォッカを飲み干す二人ですが、その裏では緊迫した駆け引きが続いています。
ラノックは、中国の情勢が不穏であること、そして日本国内でも政局が動いていることを示唆します。
佐古田が官房長官の交代に動いていると伝え、いずれは総理にまで波及する可能性があると語りました。ヴァシリは遠回しな物言いに苛立ち、核心を問います。
そこでラノックは「核兵器」と口にし、さらに本当の狙いとして、日本によるロシア内での石油開発権を求めました。
その大胆な要求にヴァシリは怒りをあらわにしますが、最終的にはそれ以上踏み込まず、ラノックを帰す形で会談は終わります。
両者の間には協力とも対立とも言い切れない、危うい均衡が漂っていました。
場面は日中の煉谷のオフィスへと移ります。そこへ恭弥から電話が入りました。
楊帆からの連絡を受けたことを踏まえ、恭弥は北朝鮮の特殊部隊が潜入した場合、総理暗殺は現実的に可能なのかと問いかけます。
煉谷は条件次第では三割ほどの可能性があると分析し、内閣情報室がすべての予定を把握しているわけではないことも説明しました。
そのやり取りの中で、恭弥はある疑念に至ります。外部からの襲撃だけでなく、内部に問題があるのではないかという考えです。
そして彼ははっきりと口にしました。
恭弥「隊員の中にスパイがいる可能性があります!」
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総理暗殺の可能性を巡る議論は、外敵の脅威から内部の裏切りへと焦点を移し、物語はさらに不穏な方向へと進み始めたのでした。
このシーンで印象的だったのは、ラノックと恭弥がまったく違う視点で動き始めている点です。
中国情勢の急変を受け、ラノックはロシアへ直接出向き、国家間の取引に踏み込もうとします。
日本の政局が揺らぐ可能性を前提に、石油開発権という具体的なカードを提示した姿からは、日本を守るための布石を打とうとしている意図が感じられました。
挑発的とも取れる発言の裏に、事態を大きな枠組みで収めようとする計算があるように見えます。
一方で、恭弥の視点はより差し迫った危機に向いていました。
北朝鮮の特殊部隊という具体的な脅威を想定し、総理暗殺の現実的な可能性を探ろうとします。
その思考は、国家間の駆け引きよりも、今まさに起こり得る事態への対処を優先する姿勢を表していました。
さらに印象的なのは、恭弥の思考が単純な可能性の高低で止まらなかった点です。
煉谷の説明を聞けば、総理暗殺は容易ではないと判断してもおかしくありません。しかし、それでもなお「最も大きな一撃は何か」と考えたとき、標的はやはり総理に行き着きます。
では、どういう状況ならそれが可能になるのか。警備が万全である前提を崩さなければ実行は難しい…そう逆算していった結果、内部に穴がある場合という結論にたどり着きます。
恭弥の疑念は、単なる不安ではなく、最悪のケースを前提に組み立てられた推論の延長にあるものでした。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第301話
- 中国情勢の急変により、これまでの優位構図が揺らぎ始めた
- 佐古田側も独自の情報を握り、水面下で動いていたことが判明
- ラノックがロシアへ直接赴き、大局的な交渉に踏み込む
- 日本の政局が総理交代にまで波及する可能性が示唆された
- 北朝鮮の特殊部隊による総理暗殺の可能性がでてきた
- 万全と思われた警備体制にも条件次第で穴が生じると判明
- 外敵だけでなく内部のスパイ疑惑が浮上し、脅威の質が変化した


