2025年4月から放送が始まったTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。
本作は、「もしシャア・アズナブルがガンダムを奪っていたら?」という衝撃の“if”設定から始まる、新たな宇宙世紀の物語です。
この記事では、第1話のストーリーをネタバレ込みでふり返りながら、印象的だったシーンや気になった演出について感想と考察をお届けします。
それでは、まずは第1話の見どころから順にふり返っていきましょう!
見どころ①:駅での衝突がすべての始まり――アマテとニャアンの出会い
物語の始まりは、スペースコロニーの日常を生きる少女・アマテと、非合法な運び屋の少女・ニャアンが駅で偶然ぶつかるという、きわめてシンプルな「出会い」だった。
- 軍警に追われるニャアンがアマテにぶつかる
- その拍子に、アマテのリュックに非合法のMS用「インストーラデバイス」が紛れ込む
- しかもアマテのスマホは軍警に踏み潰され、散々な目に会う
この場面、まるで「ボーイ・ミーツ・ガール」ならぬ「ガール・ミーツ・ガール」。
だが、それを単なる偶然と流せないのがこの作品の面白さでもある。
💬 「Let’s get the Beginning.」――
アマテのスマホに届いた謎のメッセージ。
意味合いは「さぁ、始めよう」だろうが、誰が何の目的で送ったのかは明かされない。
これが物語のすべてを「始めさせた」きっかけだったとしたら?
今後の展開を言い当てた謎の存在からのメッセージ。これは予言者か?未来人か?
© 創通・サンライズ

この出会いは予言されていたのか、仕組まれていたのか?
さらに、アマテの内面にも注目したい。
彼女は、コロニーで生まれ育つ自分の境遇にどこか不満を抱えていた。
- 「コロニー生まれの私たちは本物の重力も本物の空も知らない」
- 「宇宙(そら)って自由ですか?」と問いかける場面もあった
こうしたセリフから、彼女がどこかで「自分は本物も知らないし、自由でもない」と感じていたことが伝わってくる。
そして、それを叶える形で「ガンダムに乗る」という非日常が現実になるのだ。
一方、ニャアンはというと、年齢こそアマテと近いが、非合法な世界で生きてきた経験のわりに、どこか内向的で影がある少女だった。

むしろ、アマテのほうが非合法の世界に向いているのでは…?
ニャアンにはどこか「追われる者としての弱さ」が漂っていた。
「Let’s get the Beginning.」というメッセージから、この世界に「予言者」か「未来人」がいるのではと疑ってしまう。
このメッセージは誰が送ってきたのか?見知らぬ予言者か?それとも未来のアマテか?
見どころ②:天才少年エグザベ出撃!赤いガンダムの圧倒的存在感
赤いガンダムを追跡するためシャリア・ブルは最新鋭試作モビルスーツ「ガンダム・クァックス」の出撃を命じる。
そしてそのパイロットは、フラナガンスクールを首席で卒業したエグザベ・オリベだった。
- オメガ・サイコミュを搭載した次世代MS
- オメガ・サイコミュは過去に暴走して多大な損害を出した経緯がある
- シャリア・ブルはそんな危険を犯してでも赤いガンダムを捕まえたいようだ
ところが、意気込んで出撃したエグザベはオメガ・サイコミュを起動できないまま苦戦する。
エグザべ 「ロックが外れない…なんで起動しないんだ!?」
オメガ・サイコミュのロックが外れずサイコミュが使えないエグザべ
© 創通・サンライズ

サイコミュは過去に暴走しているため、不適格者が起動させれないようにロックが掛かっているようだ。
一方、赤いガンダムは高機動力とビットの連携により圧倒的な戦闘力を見せつけてくる。
- モビルスーツの背後を一瞬で取る機動力
- ビットを展開しながらの近接戦闘
- 沈黙を貫き、通信に応じない
高機動で動く赤いモビルスーツ、ビットを動かしながらの戦闘、そして通信に応じない演出によって「パイロットはシャアっぽいけど、声が聞こえないから確定できない」という風になっています。
だが、このシーンの本当の意義は、赤いガンダムの強さを見せることではない。
むしろ、
- エグザベという才能ある少年でもオメガ・サイコミュを起動できなかった
- これが良い前フリとなり、アマテがオメガ・サイコミュを起動できるという凄さを際立たせた。

アマテはフラナガンスクール首席の人間よりも才能があるということが暗に示されていた
見どころ③:軍警ザクの暴走とスペースノイドの現実
コロニー内で戦っていた2機のモビルスーツ(赤いガンダムとクァックス)の捜索のために出動した軍警ザク2体が、コロニー内の民間建物を次々と破壊していくシーン。
その行動は、もはや「捜索」ではなく「制圧」だった。
- 難民が暮らす非合法建築を容赦なく踏み潰す
- 「どうせ難民どもの不法建築だ」というセリフに差別意識がにじむ
- 民間人が叫ぼうが抗議しようが無視
この場面が悲惨なのは、ジオンが戦争に「勝利した世界」であるにもかかわらず、スペースノイドが苦しみ続けているということ。
アンキー「ジオンが戦争に勝ったってスペースノイドは自由になれない」
このセリフには、“勝者の理不尽さ”と“民衆の裏切られた理想”が詰まっていた。
本来、ジオンはスペースノイドの独立と自由のために戦ったはず。
しかし、勝利のあとに生まれたのは新たな支配構造と階級差別――皮肉にも、「地球連邦の圧政を倒した」はずのジオンが、今や新たな抑圧者となっている。
この暴力の光景を、アマテとニャアンは呆然と見つめる。
- ニャアンは悔しそうだが、もう何もできないという顔
- アマテは、そんなニャアンの姿を見て、静かに決意を固める
印象的だったのは「アマテが動き出すタイミング」です。
軍警ザクの理不尽を見てすぐに行動に移したのではなく、ニャアンの何もできない無力さの顔を見て、アマテは走り出します。
街を壊す軍警ザクを見ることしかできないニャアンの姿を見て、決意を決めるアマテ
© 創通・サンライズ

アマテが走り出す後押しをしてくれたのはニャアンだったと、私には見えました。
ジオンの勝利は、スペースノイド全体の解放ではなく、ジオン公国だけの勝利だった。
“正義の革命”が“ただの新しい支配”へと変わる――その構造の歪みを、暴れるザクが無言で語っていた。
見どころ④:ただの少女がガンダムを動かす時――アマテの覚醒
ジャンク屋のザクでは勝てないと悟ったアマテは、近くに隠された強そうなモビルスーツこと「ガンダム・クァックス」を見つける。
アマテはジャンク屋のザクを乗り捨てて、ガンダム・クァックスに飛び乗る。
するとエグザベですら起動できなかったオメガ・サイコミュが、アマテには反応する。
エグザべですら起動させれなかったオメガ・サイコミュを起動させるアマテ
© 創通・サンライズ
オメガ・サイコミュはより感覚的にモビルスーツを動かせるシステムのようで、アマテでもすぐに戦うことができる。
- 軍警ザクの射撃をとっさにガード
- 宇宙空間でもワイヤー上でバランスをとるアクロバティックな戦闘
- 接近戦では、まさかの前蹴りをクリーンヒット

運動神経が良いアマテと「直感操縦型のシステム」は相性が良い
そして、宇宙空間に出たアマテが感じる“何か”。
描写は明らかにニュータイプ的な精神世界で、彼女は言う。
アマテ「よくわかんないけど… なんかわかった!」
論理では説明できない、でも“感じてしまう”感覚。
これこそがニュータイプの本質であり、「選ばれた者だけが持つ直感力」の表現だ。
まとめ:少女の出会いと覚醒で始まる“もう一つの宇宙世紀”
日常は、ほんの一瞬の出会いで非日常へと反転する。「アマテとニャアンの衝突」はまさにその開始の合図であった。
駅で偶然ぶつかったアマテとニャアン、そこからガンダムに乗り込み戦うまでが怒涛の展開であった。
わずか1話の中に、ドラマ・社会性・メカアクション・精神世界の要素が詰め込まれていた。
特に印象的だったのは、エグザベでは起動させれなかったオメガ・サイコミュを、アマテが起動させてしまうという描写。
学校を首席で卒業した「才能」があったエグザべが、起動できずアマテが起動させれたのは「まさに選ばれし者」という感じがした。