アニメ『地獄楽』1話の見どころ・ネタバレ
1.死ねない死罪人
原作は漫画、『少年ジャンプ+』にて連載された。作者は『賀来ゆうじ』さんでジャンルは忍法浪漫となる。自分は原作は未読なので、完全な初見視点で感想を書いていく。
時代は江戸時代であり、主人公の『画眉丸(がびまる)』が打ち首にて処刑されるシーンから始まる。しかし、画眉丸は殺されるどころか、首が硬すぎて刀の方が先に折れてしまう。この画眉丸は「死にたくても死ねない」というキャラとして最初描かれる。
奉行所は死刑に出来ないとなっては面目丸潰れなので、あらゆる処刑方法を試して殺そうとするが全てが失敗してしまう。画眉丸の調書を取る女性『佐切(さぎり)』は処刑されても全く傷つかない画眉丸を見て、1つ違和感をおぼえるのであった。
©賀来ゆうじ/集英社・ツインエンジン・MAPPA:打ち首を命じられる画眉丸
最初は画眉丸が『不死の存在』なのかと思わせる演出がなされる。だが、佐切の調書が進む中で、そんなことはなく、ただただその身体能力の強さ、忍としての優秀さによって死を回避していることがわかる。
しかも、『死を受け入れた上で体が強すぎて死ねない』のではなく、そこには明確に『死にたくない』という画眉丸の意思があることを佐切は見抜く。そこと調書の合わせ技で、画眉丸がなぜ死にたくないのかを佐切は言い当てるわけだ。
2.がらんの画眉丸
佐切の調書作成の過程で、画眉丸の過去が明かされていく。『石隠れ衆(いわがくれしゅう)』という有名な忍びの里の出身らしく、画眉丸はその里の厳しい修行を生き抜いた優秀な忍だったと言う。
画眉丸は人をたくさん殺してきたことで里で一番の忍と認められて、石隠れ衆の長(おさ)の娘と結婚することになる。しかし、その娘というのが平和ボケした箱入り娘で、このままでは腕が鈍ると感じてしまう。
そのことを里の長に話して別れたいと願い出ると、画眉丸は長の怒りを買って、仲間たちに裏切られ捕まえられてしまったと佐切に説明する。里の者に目をつけられては生きていけないとして、画眉丸は死を受け入れていると言う。
©賀来ゆうじ/集英社・ツインエンジン・MAPPA:忍の里の娘とは思えぬ、箱入り娘の画眉丸の妻
画眉丸は忍の里の忍者として、そして殺戮マシーンとして育て上げられる。ある意味、里の最高傑作の忍者だったのかもしれない。だが、その忍者が長の言うことを聞かないとなれば、簡単に切り捨てる当たり、里の掟というのは徹底されているのだろう。
しかし、この作品は「里への復讐劇」というよりかは、「全く関係ない土地で秘宝を探す」という探検モノになりそうだ。だから、里からの刺客がやってきて撃退するみたいな展開にはならないだろう。
3.無罪放免の条件
どんな処刑方法でも死なない画眉丸に対して、最後の処刑方法が提示される。それは画眉丸の調書を書いていた佐切が打ち首をするというものであった。佐切は御試御用(おためしごよう)と呼ばれる山田浅ェ門家の娘であり、江戸から派遣された打ち首を担当する刀剣の達人であった。
死を予感した画眉丸は佐切の剣をとっさに避けてしまう。佐切は今まで打ち首をしていた経験から画眉丸を「死を受け入れたと自分を偽る者」だと見抜く。妻のことを悪く言っていた画眉丸は実は妻を愛しており、それが死ねない理由になっていた。
図星を突かれた画眉丸は怒り、役人の刀を奪って佐切に襲いかかる。そこで佐切は将軍によって保証された無罪放免の書状を画眉丸に見せる。江戸の調査で神仙郷(しんせんきょう)という極楽浄土の土地が発見され、そこには『不老不死の仙薬』があるとされていた。もし、それを持ち帰ってこれたのなら、無罪放免の上、将軍の加護が得られるという。愛する妻の元に戻りたい画眉丸は、佐切からのこの提案を飲むのであった。
©賀来ゆうじ/集英社・ツインエンジン・MAPPA:江戸から打ち首をするために派遣された佐切
里で一番優秀な忍だったのに、切り捨てられてのは妻の影響によって「人を殺せない忍」になってしまったと判断されたからだろう。それまで何も考えない伽藍堂(がらんどう)の殺戮マシーンだった画眉丸に、心があることを気づかせた妻の影響は計り知れない。
佐切がこれから殺す相手のことを調書にまとめてから、打ち首にするという作業は画眉丸以外でもやっていそうだ。だからこそ、画眉丸の『死にたくない気持ちとその原因』について気づけたと言える。あとは、これから殺す相手のことをちゃんと知っておきたいという、誠実さや真面目さがうかがい知れる行動だ。
アニメ『地獄楽』1話の感想・考察。
第1話は主人公の紹介とこの作品の大きな目的について語られることとなった。神仙郷という極楽浄土の国があることは確かなのだが、調査に送った人間が全員殺されて返ってくることから、何かしら意思を持った存在がそこに住み着いていることはわかる。
その危険地帯に死罪人ながら腕利きの奴らを送り込もうというのが、江戸の将軍が考えた手段である。画眉丸以外の死罪人も集められているだろうから、全員死罪人のパーティーが完成するということだ。もしかしたら、リーダー兼お目付け役として佐切が着いてくる可能性もあるだろう。
画眉丸は炎の忍術を使っていたことから、それが得意がゆえに火刑でも死ななかったのかもしれない。単純に身体能力が高い以外に、どんな忍術を扱えるかは1つの楽しみである。
次回記事:2話:佐切の過去と画眉丸の殺し方
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