アニメ『ルパン三世 PART6』10話感想・考察:2回目の押井守脚本回、ダーウィンの鳥

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ルパン三世 PART6 第10話の感想・見どころ

1.押井守脚本回:ダーウィンの鳥

とにかく会話の内容を深く知るには知識のいる回になっていた。ダーウィンの「種の起源」や、採掘の情報、はては神の名前まで知ってないと、なかなか会話が頭の中に入ってこない。(自分はめっちゃくちゃググりながらアニメを見ることになった)

ミハイルに何か裏がありそうなことは、事前の雰囲気で察することができたが、まさかこれだけファンタジックな結末を迎えるとは予想ができなかった。

押井守監督が製作した長編アニメ映画は

  • 1983年:うる星やつら オンリー・ユー
  • 1989年:機動警察パトレイバー the Movie
  • 1995年:GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
  • 2004年:イノセンス
  • 2008年:スカイ・クロラ The Sky Crawlers

などが有名である。

2.正体の掴めない依頼人

ルパンが依頼人のミハイル、そしてミハイルを雇った主人について調べるが、一切情報が出てこない。

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©モンキー・パンチ/TMS・NTV:謎の依頼人ミハイル

ここらへんで「あれ?雰囲気が違うぞ?」と視聴者も感じ取れる演出になっている。謎掛けとか、伏線とかではなく、超常現象が起きていると身構えることができる。

ルパンや次元の出演も少なめで、不二子がメインの回であったが、こういうファンタジックな世界では、不二子を中心に描いたほうがしっくり来るのだろう。

3.依頼人ミハイルの本当の目的

ミハイルの本当の目的は、始祖鳥の化石ではなく、堕天使ルシファーの化石であった。(ミハイルが「化石」のことを美しいと表現していたが、これは始祖鳥のことを指していたのか、ルシファーのことを指していたのか、明確に判断できない)

ミハイルの雇い主は神であり、神の代理人の本当の名前はミカエル、そして神はルシファーの化石の回収を命じたとわかる。

ダーウィンが提唱した「種の起源」は当時の常識である「神が万物を創造した」というものを否定するものだったが、堕天使ルシファーが存在するという証拠が化石として残っている、というのが面白い部分であった。

前半でミハイルが不二子に対して「進化論の虚偽」について語っていたのは、この前フリだったのだとわかる。

ルパン三世 PART6 第10話:用語解説

大英自然史博物館

大英自然史博物館」は「ロンドン自然史博物館」と呼ばれ、ロンドンのサウス・ケンジントンにある博物館。イギリスの自然史博物館では最大となり、世界でもトップクラスの規模となる。

アルケオプテリクス

アルケオプテリクス」は「始祖鳥」を指し、現生鳥類の祖先と思われた生物につけられた日本での俗称。

ミハイル

ミハイル」は旧約聖書に登場する大天使ミカエルに由来した、ロシア語の男性名。フランス語では「ミシェル」、英語では「マイケル」となる。

種の起源

種の起源

生物学書。チャールズ・ダーウィン著。1859年初版。生物は自然淘汰によって適者が生存し、それが蓄積されて進化すると唱えたもの。進化論の最も重要な古典。

出典:小学館 / デジタル大辞泉について

始祖鳥

種の起源」が出版されて、2年経たずして始祖鳥の化石が発見された。

始祖鳥

最初に発見されたのは、1861年に発掘された「ロンドン標本」で、アーケオプテリックス・リトグラフィカA. lithographicaと名づけられたものである。

出典:小学館:日本大百科全書(ニッポニカ)

ピルトダウン人

捏造の歴史として峰不二子が言及した「ピルトダウン人

ピルトダウン人は、考古学者のチャールズ・ドーソンによって捏造された化石人類。20世紀初頭のイギリスはイースト・サセックス州アックフィールド近郊のピルトダウンにて発見されたとされ、20世紀の前半期の古人類学研究に多大な悪影響を与え、迷走させた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アーケオラプトル事件

捏造の歴史としてミハイルが言及した「アーケオラプトル事件

1999年に、遼寧省から見つかった羽毛恐竜の化石にアーケオラプトルという名前がつけられた。この化石には明確な羽毛の痕跡が残っており、恐竜と鳥類とをつなぐミッシングリンクとしてナショナル・ジオグラフィック誌にて大々的に報告された。しかし、その後この化石は偽造であることがわかった。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ゾルンホーフェン

ドイツの「ゾルンホーフェン」 ジュラ紀石灰岩の採石場がある。始祖鳥の化石が発掘される。

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TUBS – Own work, based on:, CC 表示-継承 3.0

(ヴィーナス)

」金星の惑星記号で、メスを表す記号としても使われる。金星は「Venus(ヴィーナス)」であり、「愛と美の女神」でもある。

あしたの子、ルシファーよ、いかにして天より墜ちしや

あしたの子、ルシファーよ、いかにして天より墜ちしや」はイザヤ書の一節(イザヤ書は旧約聖書の一書で、三大預言書の1つ)。

前回の記事↓
》『ルパン三世 PART6』9話感想・考察:チェリーの正体

ルパン三世 PART6 第10話の感想・考察

前半は小難しい話が続くが、終わってみると「なんか神様出てきてたぁ!」っていう全体を把握すること自体は容易な作りになっていて、ちゃんと楽しめる話になっていた。

ルパンがミハイルの素性が掴めない当たりから、不穏な空気が流れ始め、不二子がサーバーをハッキングしたところで、何か超常現象が起きていることが分かり始める。

ルパンが色々な人間に変装するというのはあったが、まさかルパンが変装される側になるというのも意外な演出であった。

最終的には、不二子が見た夢だったのか、それともループものだったのかわからないが、ミハイルからの依頼を断って終わるというのも綺麗に話が畳まれていた。

それにしても、不穏な雰囲気を察知して、すぐに話しから降りた次元の勘は素晴らしいものだったとわかる。

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