アニメ『【推しの子】』1話の見どころ・ネタバレ
引用画像は『©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会』
1.推しのアイドルの妊娠
このアニメの原作は漫画、原案は『赤坂アカ』さん、作画は『横槍メンゴ』さんで、『週刊ヤングジャンプ』で連載中です。1話目は90分アニメとかなり特別かつ気合いの入ったスタートである。自分が原作未読なので、どんな作品なのか全く知らないでこの1話目を迎えた。
田舎の医者視点で物語は始まる。アイドルグループ「B小町」の『アイ』を熱烈に応援しており、極度のアイドルオタクだ。しかし、そんな『アイ』が体調不良を理由に活動休止してしまいショックを受ける。
その医者がアイドルに興味を持ったのは過去に受け持った患者の『天童寺さりな』の影響を受けてのものだった。しかし、その子は重病を患っており、若くしてこの世を去ってしまう。
過去を懐かしむ医者は通常の業務に戻ると、妊婦が産婦人科にやってくる。話を聞くと訳アリのようで、医者は手慣れた様子で質問していく。しかし、その妊婦が自分が応援してた『星野アイ』だとわかり、驚愕するのであった。
・熱烈にアイを応援するアイドルオタクの医者
1話目が60分のアニメは見たことあるが、1話目が90分というのはかなり破格のアニメだ。実際、最後まで見てみるとこの90分間のストーリーを一気に見せたいという気持ちは理解できる。まさに本編が始まる前の前日譚を語るには90分必要だった。
作品としては『アイドル』にスポットライトを当てるというよりかは、『嘘』についてヒューチャーされそうだ。1話目では嘘が強調されていたし、実際、主人公の医者も隠し事をして生きていくことになる。
2.推しの子に転生
医者は星野アイがアイドルであることを知っていることを話すと彼女は自分のスタンスと目標を話し出す。彼女は子供は産むし、アイドルも辞めないと言う。母親としてもアイドルとしても幸せとなり、そのためなら嘘を付くこともいとわない。
星野アイの思いを知った医者は彼女のために安全に子供を産ませてあげようと決心する。出産に向けた準備は順調に進み、出産予定日がやってくる。出産予定日に病院の外を歩いていると、謎の人物から『星野アイ』について質問をされる。
アイは偽名を使って病院にいるので部外者はその情報を知らないはずだと、質問者を責めると逃げ出してしまう。医者は相手を追うのだが、見失ってしまい、挙げ句、後ろを取られて崖から転落させられてしまう。医者はそのときに大怪我を負って死んでしまうのだが、そこで奇跡が起こり『星野アイの息子』として転生するのであった。
・隠されていたはずの『星野アイ』の情報を知る謎の人物
原作未読なので、最初は『アイドルが双子を隠しながら活躍する』というのが主題かと思っていたのだが、突然の『転生』で全く違うジャンルなのだと理解する。
疑問なのがこの医者の遺体が見つかっていないことで、誰かが処理をしたということがわかる。崖に突き落としたのは大学生なはずなので、後処理をしたのはやはり『星野アイの元カレ』と考えるべきか?
3.アイドルとして復帰
生まれ変わった医者は『星野愛久愛海(ほしの あくあまりん)』と名付けられる。しかも、双子であり妹は『星野瑠美衣(ほしの るびい)』である。なんと2人とも転生体であり、前世の記憶を保持したまま生まれ変わっている。
星野アイの子供2人は周りから隠すためにアイが所属する『苺プロダクション社長の斎藤夫妻の子供』という設定にする。復帰したアイは相変わらずアイドルとしての才能を輝かせ、周りを魅了する。
転生した2人は両者とも極度のアイドルオタクであり、母親のアイを全力で応援する。斎藤ミヤコが裏切りそうになったところも、2人で機転を効かせて説得したりと、なんとか子供が産まれたという秘密をうまく隠していく。
・アイドルグループ「B小町」のセンターとして活躍する『アイ』
双子の2人はお互い転生していることを知っているのだが『お互いが何者なのか』については知らない。作中ではアクアが『医者』そしてルビーが『患者だった天童寺さりな』なので親しい存在である。この2人がお互いが何者だったかを認識する瞬間は来るのだろうか?
2人とも転生体ということで、物凄い早熟なのだが、周りは『神の使い』や『早熟ベイビー』などと言って特に違和感を覚えずに接している。この2人もある意味周りに『嘘(隠し事)』をついて生活していると言える。
4.流暢にしゃべる赤ん坊
星野アイは双子を幸せにするために更に売れてお金を稼ごうとする。その足がかりとしてドラマの役が与えられて、その現場に双子たちもついていく。
そこでアクアはドラマの監督に対して赤ちゃんでありながら流暢にしゃべったことで、興味を惹かれる。監督には赤ちゃんのアクアに対して、芸能界とはどういうところなのかを説明していくのであった。
星野アイはドラマで良い演技をしたのだが、弱小プロダクションということでほとんどのシーンがカットされてしまう。アクアはすぐさまドラマ監督に抗議をするのだが、悪いと思った監督は代わりに星野アイを映画で使ってくれると言う、しかしそれはアクアも子役として出演するという条件付きであった。
・妊婦として病院に現れるアイドルのアイ
まさかのドラマ監督にアクアが気に入られるという展開がやってくる。そりゃー1歳前後で流暢にしゃべったら異質な目で見られるのは当然か。ある意味、母親の星野アイ以上に気に入られたと言っていい。
喋れるという意味ではルビーも評価対象になったはずだが、アクアの方が精神年齢が高く、しかも医者としての社会経験も豊富なので年上との会話は捗ったようだ。
5.監督に才能を見いだされるアクア
子役として映画の現場に来たアクアはそこで『有馬かな』という『十秒で泣ける天才子役』と出会う。実力はあるようだが、周りのスタッフに横暴な態度を取っており、大人たちを困らせる。
いざ、撮影が始まるとアクアは監督の採用意図を受け取って『変に演じるよりも自然体で話す』ということをする。この演技によって有馬かなに敗北感を与えて、監督からは更に気に入られるようになる。
この映画はそれなりにヒットして、主演の星野アイはこの作品を皮切りに仕事が増え始め、売出し中のタレントまで成長する。そして、双子が産まれてから3年が経ち、星野アイは一世を風靡するアイドルになろうとしていた。
・妊娠して前途多難でも余裕を見せる星野アイ
監督に気に入られた結果、アクアが指名される形で映画の仕事が舞い込んでくる。しかも、監督が気に入り、周りも認めるような演技をしたことでアクアは才能(コミュニケーション能力)があると評価される。
そして、年月が経つとともに星野アイの評価は上がっていき、それと共にプロダクションの力も上がっていく。結果として、大きな仕事を手に入れられるだけの実力と後ろ盾を手に入れた。
6.前日譚は終わり、本編へ
人気と実力を身につけた星野アイは主演ドラマが好調で、しかもドーム公演まで決まる。そんなアイは自分がスカウトされた時のことを思い出す。施設出身のアイは何かを愛せないと言って断ろうとするのだが、斎藤社長は嘘をついていけばいいし、もしかしたら嘘がいつか本当になるかもしれないと説得されてアイドルになる。
ドーム公演を控えた星野アイの自宅のチャイムな鳴らされる。アイが玄関を開けると、突然お腹をナイフで刺される。どうやらアイが子供を産んでいたことを知っていたファンらしく、それに怒り犯行に及んだようだ。結果、アイはその場で亡くなってしまい、犯行に及んだ大学生も自殺して事件の真相はわからないまま幕が閉じる。
母親を失った失意に落胆する双子だったが、アクアは『そもそもどうやって大学生が引っ越したばかりの星野アイの自宅を知っていたのか?』と疑問に思う。そこから、星野アイに狂ったファンを差し向けたのは『自分たちの父親』であり、それは『芸能界関係者』であると確信したアクアは、復讐を決意するのであった。
・刺されて血だらけになった母親に抱きしめられるアクア
全く前情報のなかった自分からすると第1話は『アイドルが子供隠しながら活躍する話か?』→『いやいや、転生モノになったぞ』→『めっちゃ復讐劇かつミステリーやん』という大きなジャンルの振れ幅があって楽しませてもらった。
この作品全体として『アクアとルビーの父親は誰なのか?』という大きな問題が提示された。動機や犯行手段、引いては犯人がわかったらどうやって裁くのかに興味が湧いてくる。
アニメ『【推しの子】』1話の感想・考察。
90分という長い1話であったが、それに値する本編が始まるまでの重要な前日譚だった。この話を分割して放映したくないというのはうなずける。
1話全体としては、アイドル、ひいては芸能界について語られた。だが、主題としては『誰が医者と星野アイを死に至らせた黒幕なのか?』を探す話になっている。序盤のアイドルオタクの話とは一転して、ラストではミステリーかつ復讐劇の話に変わっていた。
途中までは『アクアとルビーが前世の記憶を持つことを母親に伝えるのか、伝えないのか』が重要なテーマの1つになると予想してたのだが、そういう難しい問題は『星野アイの死』によって解決されてしまう。
主人公はあくまで『アクア』なので、その物語を語る上で『親』というのは邪魔になってくる。作品によってはすでに親とは死別していたり、両親は海外で働いていて作品には関与しないなどの手法を取ったりするが、この作品はしっかりと親との関係を描いて『主人公の行動理由』を強く印象付けた。
前回記事:2話:双子たちの目標と夢