パイプオルガンの値段について調べている方の多くは、「一体いくらくらいするのか」「家庭用でも買えるのか」「教会やホールではどのくらいの費用がかかるのか」といった疑問を抱えているのではないでしょうか。
この記事では、パイプオルガンの値段に関するさまざまな情報をわかりやすく整理し、平均価格や最高価格、最低価格の目安、さらには家庭用や練習用、教会用など目的別の費用感についても詳しく紹介します。
また、東京芸術劇場やサントリーホール、NHKホール、京都コンサートホールといった実際の設置例も取り上げながら、現実的な価格帯とその背景についても解説しています。
さらに、日本国内にパイプオルガンがどのくらい存在するのかといった基礎情報もあわせてお伝えします。パイプオルガンの購入を検討している方、値段の相場感を知りたい方にとって、実用的な情報が詰まった内容となっています。
- パイプオルガンの値段の相場と価格差の理由
- 家庭用・練習用・教会用の価格帯と特徴
- 有名ホールに設置されたオルガンの価格事例
- 日本国内におけるパイプオルガンの設置状況
パイプオルガンの値段はどれくらいか
- パイプオルガンの値段の平均・最高・最低
- 家庭用パイプオルガンの値段と特徴
- 練習用パイプオルガンの値段と仕様
- 教会で使うパイプオルガンの値段
パイプオルガンの値段の平均・最高・最低値

パイプオルガンの価格は、構造や規模、設置場所により大きく異なります。
小規模な家庭用モデルであれば250万円〜400万円程度から入手可能ですが、中規模な教会用では1000万円〜1億円、そして大規模なコンサートホール用では1億円〜3億円以上に達することもあります。
平均的な価格帯は1億円前後が目安ですが、用途によって幅広い選択肢があります。
なぜこれほど差があるのかというと、パイプオルガンは建物の空間に合わせて一台一台オーダーメイドで設計・製作されることが多く、規格化された製品ではないからです。
特にホールや教会に設置される大型のパイプオルガンは、設計・製造・組立に長期間を要し、その過程で多くの職人の手が加わります。
例えば、東京芸術劇場に設置されたパイプオルガンはフランス・ガルニエ社製で、本体価格が約3億8,700万円、さらに13年間で約1億2,000万円のメンテナンス費がかかったと報じられている。
一方、個人向けや小規模施設用のパイプオルガンは、最小構成でおよそ250万円〜400万円とされるモデルもある
このように、パイプオルガンの値段は、用途や規模によって「250万円程度から3億円以上」にまで広がります
特にコンサートホール規模のオルガンでは、2億円前後を想定しておくのが現実的です。
ただし、設置場所の構造や音響条件、さらに定期的なメンテナンス費用などによって、総額はさらに変動する可能性があります。
したがって、価格だけでなく、設置後の維持費や使用目的までを含めた総合的な判断が求められます。
家庭用パイプオルガンの値段と特徴

家庭用のパイプオルガンは、限られたスペースにも設置しやすいように設計された小型モデルが中心です。
価格帯はおおむね250万円〜1700万円で、コンサートホールに設置される大型オルガンと比べると、個人でも所有を検討できる現実的な価格といえるでしょう。
このような家庭用モデルの特徴は、サイズと音量が抑えられていること、そしてパイプの本数やストップ数(音色の種類を変える仕組み)が少ないことです。
幅約1.3m、高さ2.2m前後で、ペダル付きのモデルでも床の補強は不要なものが多く、一般的な住宅にも無理なく設置できます。
例えば、辻オルガンでは1ストップで約330万円、9ストップで1700万円程度のモデルが提供されており、設置やメンテナンスを簡易にした練習向けのスケルトンオルガンもあります。これには手動での調律が必要な場合もありますが、その分、オルガン本来の演奏感覚を学びやすいという利点があります。
一方で、注意すべき点としては、防音対策が必要になるケースがあることや、調律やメンテナンスに一定の費用と手間がかかることです。また、設置にあたっては搬入経路や電源確保なども考慮しなければなりません。
こうした特徴から、家庭用パイプオルガンは「本物の響きを自宅で体感したい」「専門的に学びたい」といった強い意志を持つ人に向いている楽器といえるでしょう。
練習用パイプオルガンの値段と仕様

練習用のパイプオルガンは、演奏者が本番と近い感覚で練習できるように設計されています。一般的な電子オルガンとは異なり、実際に風を送り込んでパイプを鳴らす構造が採用されているため、演奏中に風圧の変化や抵抗を感じることができるのが特徴です。
価格帯は約180万円からで、構成や機能によってさらに高くなる場合もあります。例えば、ある試作モデルでは、一段鍵盤・ペダル付き・1ストップ構成のシンプルな設計で180万円(税別)という価格設定になっています。これには外装がなく骨組みだけの「スケルトン仕様」が採用されており、価格を抑える工夫がなされています。
仕様としては、手鍵盤と足鍵盤の他、送風装置、パイプ、風箱など基本的なパーツが揃っており、パイプは金属と木製が組み合わさっています。また、サイズや重量も家庭に設置できるレベルに調整されており、特別な床補強は不要です。
ただし、電子オルガンと違って自動で音が整うわけではなく、調律が必要になる点には注意が必要です。慣れていない場合はピアノ調律師に依頼することが推奨されています。
このような練習用オルガンは、「本物の感覚で練習したいが、予算やスペースが限られている」という人にとって現実的な選択肢となるでしょう。
教会で使うパイプオルガンの値段

教会用のパイプオルガンは、礼拝での伴奏や賛美歌の演奏を目的として設計されるため、会場の規模や音響条件に応じた仕様が求められます。
価格は、オルガンの大きさとストップ数によって大きく変わり、概ね1000万円~1億円以上の範囲に収まります。
このとき重要になるのが「ストップ数」です。ストップとは、異なる音色を作り出すためのパイプ群を切り替える装置であり、その数が多いほど豊かな表現が可能になります。
辻オルガンでは、教会の座席数をもとに必要なストップ数を次のように計算しています。
例えば、座席数が100の場合、「最低5ストップ」「標準10ストップ」「最大15ストップ」という指標が使われ、それに応じて価格も上昇します。
鍵盤の段数によっても価格差があり、1段鍵盤は比較的安価で、2段・3段になるにつれ複雑な構造と高い価格になります。
このように、教会用パイプオルガンは「音の力で空間全体を包み込む」役割を担うため、その設計には細かな調整とカスタマイズが不可欠です。一方で、建物の構造や音響の制限によっては、大型のオルガンを設置できない場合もあります。
したがって、教会にパイプオルガンを導入する際は、音響設計の専門家や製作会社と綿密に相談し、適正なサイズと機能を見極めることが大切です。
パイプオルガンの値段と各ホールの事例
- サントリーホールのパイプオルガンの値段
- NHKホールのパイプオルガンの値段
- 東京芸術劇場のパイプオルガンの値段
- 京都コンサートホールのパイプオルガンの値段
- パイプオルガンは日本に何台あるのか
サントリーホールのパイプオルガンの値段

サントリーホールの大ホールに設置されたパイプオルガンは、オーストリア・リーガー社製で、ストップ数74、パイプ数5898本を誇る世界最大級の規模です。この構成だけでも、購入価格は数億円にのぼると推測されますが、実際の販売価格は非公開です。
一方、ホールの使用料として、パイプオルガンの“付帯設備利用料”が設定されています。たとえば、コンサート本番時には大ホールの使用料に加えて、オルガンのリモートコンソール使用が1回あたり約5万円別途必要です。
このように、直接の販売価格は公表されていないものの、数千万~数億円規模の総額が必要で、運用時にも継続的な費用がかかる楽器であることが理解できます。
NHKホールのパイプオルガンの値段

NHKホール(東京都渋谷区)は、3601席と大規模な多目的ホールであり、舞台奥にはパイプオルガンが設置されています。ただし、このホールでのオルガンの「販売価格」や「導入費用」は公開されていません。
ホール側は楽器設置の事実を明示しているものの、レンタル・使用料金などについては非公開になっており、コスト構造は不透明です 。
以上から、NHKホールのパイプオルガンの導入費用については外部資料がなく、具体的な金額を把握することは現在のところ不可能です。
東京芸術劇場のパイプオルガンの値段

東京芸術劇場のオルガンはフランス・ガルニエ社製で、約9,000本ものパイプ数を誇ります。
購入価格は1990年の導入時に3億8,700万円、さらに13年間で1億2,000万円超のメンテナンス費がかかっています。
これはオルガン本体だけでなく「建物への組み込み」と「専門調律士による維持費」も含まれており、同一の楽器を別の建物に移すことはできません。
調律に1週間以上かかることも珍しくなく、運用には相当な労力もかかります。
こうした背景から、東京芸術劇場のパイプオルガンは、導入費(約3億8,700万円)と今後の維持費(年間約900万円超)を総合すると、10年以上の運用を見据える場合には数億円から十数億円規模と考える必要がある。
京都コンサートホールのパイプオルガンの値段

京都コンサートホールの大ホールにはパイプオルガンが常設されていて、利用料は「公演本番時」で34,460円、「リハーサル時」で24,130円となっています。
通常は調律費用も利用料に含まれるため、主催者側が別途負担するケースは少ないようです(状況により追加費用が発生することもあります)。
ただし、これは導入費用ではなくホール使用料ですので、オルガンの購入には別途見積もりが必要です。
ホールが設備を保有している構造のため、使用者にとっては手軽に使える一方、調達コスト全体は施設側が賄っています。
パイプオルガンは日本に何台あるのか

日本国内に設置されているパイプオルガンの正確な台数は把握が難しいものの、ある統計では「日本国内に約1000台以上ある」との報告があります 。
ただ、この数には教会やホール、小規模な施設に設置されたものも含まれている一方で、国内1000台の中でも大型コンサートホール向けはごく一部です。また、各楽器は建物ごとのオーダーメイド品であり、同じ仕様のものはほとんど存在しません。
つまり、「日本には多くのパイプオルガンがあるものの、用途や規模で大きな違いがある」と整理できます。規模や設置環境が多様である点に注意が必要です。
パイプオルガンの値段に関する総まとめ
- パイプオルガンの価格は数百万円から数億円まで幅がある
- 平均的なコンサートホール用は1億~2億円程度
- 最大級のオルガンは3億円超、維持費も高額
- 家庭用モデルは250万~1700万円程度で設置可能
- 家庭用は小型・低音量で住宅にも対応できる仕様
- 教会用は規模とストップ数により1000万~1億円以上
- ストップ数は座席数をもとに計算される傾向にある
- 東京芸術劇場のオルガンは3.87億円+1.2億円の維持費
- サントリーホールのオルガンは数億円規模と推定される
- 京都コンサートホールの使用料には調律費が含まれる
- NHKホールのオルガン費用は未公表で不明
- 日本には約1000台以上のパイプオルガンが存在するとされる