※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第206話のネタバレが含まれています。まだ読んでいない方はご注意ください。
前回の第205話では、恭弥が病院を退院し、フランス大使ラノックと今後の動きを探る会話を交わしました。また、裏社会のギャング組織・セルパン・ブニムーとの駆け引きが、さらに緊張感を増していきます。
今回の第206話では、逃亡中の周防がアメリカ・ラスベガスで「虎太郎」という特殊な護衛を雇い、反撃の準備を進めます。
その一方で、恭弥と神代の間では、過去の傷をめぐる静かな対話が交わされ、戦いとは違った人間らしい側面も描かれました。
見どころ1:ラスベガスで再起を図る周防と“百年に一度の逸材”虎太郎の登場
日本で起きた大規模テロのあと、首謀者だった周防裕三はアメリカ・ラスベガスに逃れていました。そこで彼が懸念していたのは報復への対処です。
周坊と利害の一致する人間は彼をサポートするために、用心棒を雇います。
周防側の人間『中でもそこにいる虎太郎は百年に一度の逸材です』
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立っているだけで空気がピリつくような日本人の屈強な男たち。そして、その中でも「虎太郎」と呼ばれた一人が特別な存在として紹介されます。

周坊はこれで防戦一方ということは考えていないようで、周坊以外の人間がユニコーン計画の邪魔をして、その時間稼ぎという風に考えているようだ。
今後、恭弥との直接対決もあるでしょうし、その時には普通の戦いでは済まされないような緊張感が描かれるはずです。
見どころ2:神代の告白――トラウマに苦しむ男の素顔
恭弥は、ネクサスホテルのスイートルームで神代と再会します。再会は穏やかでしたが、そのやり取りの中で、神代は今まで語ってこなかった「ある本音」を打ち明けます。
神代『ここんとこずっとこうなんだ。道ですれ違う奴ら全員、刃物を持ってるんじゃないかって疑心暗鬼になって』
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神代が言う「疑心暗鬼」は、かつて彼が部下を全員失った事件と深く関係しています。そのとき、神代は恭弥を加勢するために部下を大勢連れて戦いに参加しました。
けれども、結果として、ついてきた仲間たちが全員命を落としてしまいました。神代は目の前でその全てを見ていたのです。
その経験がどれほど重かったかを、神代自身が語る必要はありませんでした。彼の手の震えや、表情の端に見えた疲労がすでにすべてを物語っていたのです。
そんな彼に向けて、恭弥はこう声をかけます。
恭弥『あんなことがあったんだから当然だろ。時間が解決してくれる ゆっくり受け入れろ』
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この言葉が響くのは、恭弥自身もまた「部下を失い、自分も一度死んだ」という過去を持つからです。ただ慰めるのではなく、痛みを知る者として、神代の苦しみに正面から向き合った一言でした。
普段は感情を表に出さない恭弥が、迷いなく「時間が必要だ」と言えたのは、自分の過去に裏打ちされた実感があるからこそ。
そしてそこには、相手を急かさず「ただ待つこと」で支える優しさが込められていました。
見どころ3:ザビエの暴走――恭弥の怒りが爆発する瞬間
恭弥のもとに電話がかかってきました。相手は、ギャング組織セルパン・ブニムーのザビエです。
その電話で彼は、フランスにいた周防の息子とその家族3人を「始末した」と伝えました。
ザビエ『これがオレたちのやり方だ。口出ししないでもらいたい』
この報告を聞いた瞬間、恭弥は強い怒りをあらわにします。彼は普段、どんな敵にも冷静に対応しますが、この時だけは感情を抑えることができませんでした。
ザビエの「やり方」は、目的のために無関係な命すら犠牲にするものでした。その冷酷さに、恭弥は強く反発したのです。

恭弥がこれまで倒してきたのは、戦う「理由」を持つ相手だけでした。だからこそ、ザビエのように無抵抗の家族や子どもにまで手をかけるやり方は、彼の中で決して許せない行為です。
ザビエは表向き、アメリカ情報局の要員という肩書きを持っています。にもかかわらず、その振る舞いはまるで暴力でしか物事を動かせない無法者のようです。
本来は国家の安全や秩序を守るはずの立場にいる者が、一般市民を巻き込む――そこに異常さがあります。
恭弥の怒りは、ただの正義感ではなく、「人間として踏み越えてはいけない一線」を侵されたことへの強い拒絶です。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第206話
- 周防がラスベガスに拠点を移し虎太郎という最強クラスの護衛を雇う
- 神代が恭弥に心の傷を打ち明ける場面が描かれる
- 恭弥は神代のトラウマを否定せず、静かに受け入れた
- ザビエが周防の家族3人を殺したと通告し恭弥が激怒する
- ザビエはアメリカ情報局のスパイでありながら非道な手段をとる
- 今後は恭弥とザビエの対立が激化する展開が予想される
- 前回記事:205話:ラノックが仕掛けるスパイ戦の真意
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