※本記事には『ゴッド・オブ・ブラックフィールド』第208話のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
前回の第207話では、セルパン・ブニムーによって周坊の孫まで殺されたことが発覚し、恭弥が怒りの限界に達する場面が描かれました。
さらに、黒川の口から「周防の帰国」という新たな情報も明かされました。
今回は、周防が世論を味方につけて「英雄」として報じられる一方で、恭弥たちが一切手出しできない状況に追い込まれていきます。
暗殺という手段すら封じられた中で、国家と正義のあり方が問われる回となっています。
見どころ1:周防の「世論掌握」作戦
午後、恭弥たちは喫茶店でスマホでニュースを見ていました。その画面には、清水グループが海外の大きな建設プロジェクトを勝ち取ったというニュースが流れます。
報道では「周防会長のリーダーシップが素晴らしい」「中東事業で日本企業が大きな勝利をおさめた」と、まるで英雄扱いされていました。
ダエル『どれもこれも周防にとって都合のいいように書かれてるじゃないっすか!』

このとき私たちが注目すべきなのは、報道されている「周防の姿」と、恭弥たちが知っている「本当の周防」との間に、大きなズレがあることです。
実際には、周防は国際的なテロ事件に関わっていた黒幕のひとりです。けれども、そのことは国民には伝えられていません。
だからこそ、テレビの中では彼が「家族を亡くしても国のために尽くす立派な人物」として描かれているのです。
一方で、黒川は冷静にその報道の裏を読み取ります。彼は、今回の大成功がただの偶然ではなく、裏で何か取引があったのではないかと考えていました。
黒川『清水グループの株が上がり、周防は起死回生を遂げました』
©Kakao piccoma Corp.
この言葉には、深い意味があります。
清水グループはこのまま勢いに乗って、日本で進められている「ユニコーン事業」の中心になる可能性があります。
そして、そのプロジェクトを途中でわざと止めてしまえば、「日本ではなく韓国が最終的な拠点になる」という未来も見えてきます。
黒川たちはそれをとても危険なことだと考えていました。
さらに周防は、自分に都合のいい情報をテレビやメディアに流すことで、世論(国民の声)を自分の味方にしています。
その結果、もし誰かが彼を裁こうとすれば、「英雄を傷つけるなんてひどい」という声があがり、かえって不利になってしまうのです。

つまり周防は、「人々の意見」を使って、自分を守りながら敵を封じる。そんなやり方で戦っています。
暴力や武器ではなく、情報や印象を使うこの戦いは、とても静かで、とても怖いものに見えました。
見どころ2:世論に縛られる黒川の苦悩
喫茶店で、恭弥とダエルは「周防を殺すべきだ」と主張します。しかし黒川は、それに対して冷静に反対の意見を伝えました。
今の周防は、普通の人間では手を出せないほど警備が厳重だからです。
黒川『周防は現在、特殊訓練を受けた警護人を従えています』
©Kakao piccoma Corp.
この警護体制は、単に人を多くつけているというレベルではありません。
周防は、移動するルートまで考えて行動し、常に監視カメラがある場所を選んでいます。つまり、事故を装って暗殺することもほぼ不可能です。
さらに、問題は周防が「世論の味方を得ていること」です。
清水グループが海外事業を成功させたことで、テレビや新聞では彼が称賛されています。「家族を亡くしながらも国のために働く社長」というイメージが広がり、多くの人が信じてしまっています。
こんな状況では、正義の側であるはずの恭弥たちが「悪者」にされてしまう危険すらあるのです。
怒りが収まらない恭弥は、「自分が周防を殺してフランスに帰化すればいい」とまで言います。それに対して黒川は、はっきりと「それは違う」と伝えました。
黒川『政府というのは国民と国家の発展のためにあるべきものですから』
©Kakao piccoma Corp.

感情に任せて行動してしまいそうになる恭弥に対し、黒川は「国家」というもっと大きなもののために、あえて一歩引く覚悟を見せたのだと思います。
そしてその覚悟は、恭弥の心にも届きました。
彼の「すみません、さっきは言いすぎました」という一言には、相手の覚悟をきちんと受け止めたからこその態度に見えました。
まとめ:ゴッドオブブラックフィールド:第208話
- 周防の中東事業受注がメディアで大々的に報じられた
- 清水グループの成功により周防が世論を味方につけた
- 黒川は報道の背後にある裏取引の可能性を指摘した
- ユニコーン事業が清水グループに独占される危険が浮上した
- 周防は特殊警備と世論の盾で守られ手出しが難しい状況となった
- 暗殺という選択肢すら政治的にリスクが高すぎて封じられている
- 黒川は国家の矜持を保ちつつ現実と向き合おうとした
- 恭弥は怒りを抑え、黒川の言葉の重みを知って謝罪した
- 次回記事:209話:姫野の服選びを巡って恭弥が困惑
- 前回記事:207話:周防帰国へ、黒川が語る日本国内の動き
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