※この記事には『LAZARUS ラザロ』アニメ第3話のネタバレが含まれます。未視聴の方はご注意ください。
スキナー博士を追うラザロの捜査が、ついに“過去”の領域へと踏み込んだ第3話。
顔認証で「スキナー博士が10万人いる」という異常事態が発覚し、その裏に天才ハッカーの存在が浮かび上がります。
一方で、ダグはかつての恩師・クロードを探してホームレス街へ。
そこで明かされたのは、スキナー博士のかつての人柄と、科学者たちが抱えた嫉妬と後悔の物語でした。
さらに舞台はイスタンブールへ。スキナーを育てた祖母・ビリンダばあさんとの出会いが、彼が「本当に人類を滅ぼすような人物なのか?」という根本的な問いを私たちに投げかけてきます。
…そして、監視カメラの奥で「笑った男」とは?
本記事では、そんな第3話の見どころを3つのパートに分けて、感想と考察を交えて振り返っていきます。
見どころ1:顔認証で10万人のスキナー博士?|影に潜む「もうひとりの天才」
エレイナが解析した顔認証の結果は、予想を大きく超えていました。なんと、スキナー博士と一致する顔が10万人も検出されたのです。
「監視社会の裏をかいた」とも言えるこの事態。そこには意図的に仕掛けられた「顔の上書き」が存在し、誰かが世界中の映像データを書き換えていたのです。

この程度の対策はちゃんとしているよ、という意志を感じた
このシーンからは、スキナー博士側が「機械的に調べられることは先に手を打ってあるよ」というメッセージを感じます。
エレイナの分析の結果、書き換えた人物がスキナー本人ではないと言います。彼女はその技術力の高さから協力している人間を絞り込みます。
- 世界にこのレベルのハッカーは3人しかいない
- そのひとりが自分「マッド・スクリーマー」
- 残る2人、つまり協力者がいる可能性が高い

天才ハッカーをどうやって言うことを聞かせたのか気になる。お金では無理では?
世界が終わるというのにお金で雇ったというのは考えにくい。もし仮に、ハプナの特効薬と引き換えに協力していると言うのなら、まだわかる。
今回の一件からハーシュは「スキナー博士は整形はしていない」と予想します。
ハーシュは彼は元の顔のままの可能性が高いと予想する
©2024 The Cartoon Network, Inc.
確かにこれだけの対策をしているのだから「生きていて、元の顔のまま」という可能性は高まったかもしれません。
しかし…

それでもなお「当事者は実は死んでいました」という結末を捨てきれません
たぶん、今まで出ているスキナー博士の映像が全て動画だから、まだ生きていると信じきれてないのでしょう
良くも悪くもシナリオライターの胸先三寸で決まってしまうと疑っている自分がいます。
見どころ2:ホームレス街で再会した恩師クロード|ダグの過去と胸の傷
スキナーの足取りを追う中で、ラザロのメンバーはホームレス街に足を踏み入れます。
そこには、ただ生活に困窮した人々だけでなく、複雑な過去を抱えた人物たちがいました。
まず印象的だったのは、ダグの過去です。
彼はかつて大学で研究員として活躍していましたが、差別的な言葉を吐いた学長に手を出してしまい、学界を追放されたというのです。
ジルの発言を聞いて、信頼してもらうために自分の過去を語るダグ
©2024 The Cartoon Network, Inc.

理性的な人間かと思っていたけど、若き日に正義感が暴発してしまったのか…
彼の冷静な作戦立案や知性的な発言からは想像もつかない告白。
そしてその後、ダグがどんな人生を歩んできたのかが気になります。
銃の扱いにも慣れていることから、別の組織で鍛えられていた可能性も匂います。
このホームレス街は、アクセルの知り合いのジェリー(現在のジル)をはじめ、自己破産・性別移行・前科など、多様で複雑な「理由」を持った人々が暮らす場所です。
- 社会からこぼれ落ちた人々が、肩を寄せ合う最後の逃げ場所
- 貧富の格差だけでなく、「戻れない理由」を持った人間が集まっている
- 最低限の礼儀として、その人の過去を詮索したり言いふらさない

作中で語られる格差問題は、まさにスキナー博士が解決しようとしていた領域だと思います
この街は、スキナーが解決したかった問題の象徴的な舞台の1つなのかもしれません。
一方で、スキナーの元同僚クロードは、自らの嫉妬心と過ちを語りました。
スキナーの成功がまぶしすぎて、研究結果を捏造することでしか対抗できなかった。結果、学界から追放され、この街にたどり着いた――。
スキナーは「周囲を見ず研究に没頭するタイプ」だったとクロードから語られました。
これはクロードによる単なる嫉妬の延長線上の悪口だったのか?
それともスキナーの性格をちゃんと言い当てており、これが犯行の理由の1つとなっているのかまでは判断ができません。
見どころ3:イスタンブールで出会ったビリンダばあさん|スキナーの素顔と“笑う監視者”
スキナー博士の過去に迫る手がかりを得るため、アクセルとリーランドはイスタンブールを訪れました。
そこには、スキナーの祖母であり育ての親でもあるビリンダばあさんに出会います。
彼女の話から浮かび上がったのは、意外なほど素朴で優しい少年時代のスキナーです。
- 両親を早くに亡くし、ビリンダが親代わりに育てた
- 泣き虫で心優しい普通の子だった
- 中東の菓子「バクラヴァ」が大好きで、「ビリンダのバクラヴァは世界一」と語っていた

実際にその通りなのだろう。今のところ彼が悪い人間というふうには到底思えない
この証言は、今のスキナー像とのギャップを強く印象づけました。
悪魔のような犯人像ではなく、今も変わらず“優しい孫”なのではないか――そう思わせる温かな描写でした。
ビリンダに3年前に送られてきた動画ではスキナーが「落ち着いたら必ず帰る」と言っています。3年前ならハプナの計画はもう立案・実行されていたはずです。
スキナーが完全な逃亡者ではなく、「帰る場所」と「大切な人」を意識しているように見えました。
そして、アクセルは彼なりの推理力でビリンダの部屋の中にある監視カメラを発見します。
アクセル「あいつはどっかで見てるはずだ。たぶん、ビリンダに何かあったときのために…」
スキナーの人間的な優しさから考えれば、このアクセルの推理には説得力がありました。
- スキナーは「天涯孤独」とされていたが、実際には祖母がいた
- 社会活動にも尽力し、「聖人」とまで称された
- ならば、祖母を見守る行動は自然だといえる
アクセルが見つけた監視カメラの先には、見知らぬメガネの青年が笑っていました。

別人が監視しているとすぐにわかる演出でした
そしてこの人物が、次のカットで「ドクター909」であることがほのめかされます。
まとめ:スキナーの影と笑う男
第3話は、アクションや捜査よりも「人間の背景にある物語」に重きを置いた一話でした。
- ダグ自身が語るダグの過去
- ジルが語るアクセルという人物像
- ビリンダが語るスキナーの子ども時代
メインの筋とは別に、本作には「黒人への差別」や「ホームレス街の描写」といった社会的テーマもさりげなく織り込まれていました。
それはきっと、スキナー博士がこの世界に対して本当に問いかけたかった問題なのかもしれません。
次回は、エレイナが見つけた「ドクター909の隠しウォレット」の話から始まりそうなので、エレイナにスポットライトが当たるかもしれません。